車載Linuxの要求仕様が決定、「将来的に運転支援システムもカバー」:車載情報機器
Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」が、要求仕様書(Requirements Specification)のバージョン1.0を公開。今後は、「デジタルクラスタやテレマティクス、高度運転支援システム(ADAS)までをカバーできるようにしていく」という。
The Linux Foundationは2015年6月1日、Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」について、要求仕様書(Requirements Specification)のバージョン1.0を公開したと発表した。
東京都内で開催中の開発者向けイベント「Automotive Linux Summit 2015」(同年6月1〜2日)では、同団体の自動車部門担当ゼネラルマネージャーを務めるDan Cauchy氏が登壇し、AGLの最近の活動内容を報告した。
AGLの参加メンバーは現在55社で、直近6カ月で15社が参加したという。この15社の中には、6月1日に発表されたソニーやアルプス電気などの4社も含まれる。さらに「間もなく数社の有力な企業も加わる見込み」(Cauchy氏)だ。
同氏は「さまざまな分野で成功を収めているオープンソース開発だが、自動車業界での取り組みが遅れていたことは明白な事実。しかしAGLは、車載情報機器などの開発スピードを向上できるオープンプラットフォームとして評価されつつある。また、車載情報機器だけでなく、デジタルクラスタ、ヘッドアップディスプレイ、テレマティクス、そして高度運転支援システム(ADAS)までをカバーするソフトウェア基盤にしていけるように、活動を広げていきたい」と語る。
「AGLディストリビューション」を投入へ
今回発表したAGLの要求仕様書バージョン1.0は、AGLがこれまでの活動を基に独自に規定したものだ。オープンソースの成果物として、既にWebサイトからダウンロードできる状態になっている。
これまでのAGLの活動は、Tizen IVIやGENIVIといった他の団体と歩調を合わせる形式になっており、AGLとして独自の成果物を作る姿勢を強く示していなかった。実際に、前回の「Automotive Linux Summit 2014」では、参照プラットフォームとして「Tizen IVI 3.0」を採用する方針を示していた(関連記事:Automotive Grade Linuxが開発成果を発表、リファレンスは「Tizen IVI 3.0」)。
しかし、今回の要求仕様書バージョン1.0以降は、「AGLがイニシアチブを取る形で、Tizen IVIとGENIVIの成果を取り入れた『AGLディストリビューション』を投入する」(Cauchy氏)としている。
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