ARMコアSoCも「Tizen Common」世代の「Tizen IVI」に対応、ルネサスが開発:車載半導体
ルネサス エレクトロニクスは、「Automotive Linux Summit 2014」において、同社の車載情報機器向けSoC「R-Car M2」などの評価ボード上で「Tizen IVI」を動作させるデモンストレーションを披露した。
ルネサス エレクトロニクスは、東京都内で開催された「Automotive Linux Summit 2014」(2014年7月1〜2日)において、同社の車載情報機器向けSoC「R-Car M2」などの評価ボード上で、車載情報機器向けLinuxプラットフォーム「Tizen IVI」を動作させるデモンストレーションを披露した。
Automotive Linux Summit 2014は、The Linux Foundation傘下のLinuxベースの車載情報機器向けオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」のイベントである。そのAGLの活動のリファレンスプラットフォームとなっているのが、Intelが開発を主導するTizen IVIだ。このためTizen IVIのハードウェアに関わる機能は、まずIntelのプロセッサに最適化する形で開発されている。
しかし現在の車載情報機器に搭載されているプロセッサは、ルネサスの製品をはじめ、ほとんどが「Cortex-A9」や「Cortex-A15」などのARMコアを搭載するSoCである。このため、多くの車載情報機器メーカーが、Tizen IVIのハードウェア関連機能をARMコア搭載のSoCに対応させることを求めていた。そこでルネサスは、R-Car M2の評価ボード「Koelsch」や、「R-Car H2」の評価ボード「Lager」をリファレンスとしてTizen IVIへの対応に取り組んできたという。展示ブースでは、Lagerを使って、Tizen IVIの最新バージョン「Tizen IVI 3.0」を動作させるデモを披露していた。
また最近になって、Tizen IVIの開発を行うTizenプロジェクトの開発体制に変更があった。現在のTizen IVIとモバイル機器向けの「Tizen Mobile」の共通部分から基礎プラットフォーム「Tizen Common」を構築し、これにモバイル機器や車載情報機器といった個別のアプリケーションに対応するプロファイルを追加する方式に変更されたのだ。今後のTizen IVIは、Tizen CommonにIVIプロファイルを追加することになる(関連記事:Automotive Grade Linuxが開発成果を発表、リファレンスは「Tizen IVI 3.0」)。
このIVIプロファイルの開発についても、ARMコア搭載SoCの対応が後手になっている状況に変わりはない。そこで、IVIプロファイルついても、ルネサスが先行して取り組みを進めている。展示ブースでは、Koelsch上でTizen Commonと一部のIVIプロファイルを組み合わせて動作させるデモを見せていた。
関連記事
- Automotive Grade Linuxが開発成果を発表、リファレンスは「Tizen IVI 3.0」
Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」が、開発したソフトウェアの最初のバージョンを公開。東京都内で開催中の開発者向けイベント「Automotive Linux Summit 2014」では、リファレンスプラットフォームとなっている「Tizen IVI」の開発状況やAGLの開発成果が紹介された。 - Linuxとイーサネットが鍵を握る車載情報機器の進化
2013年5月28〜29日に東京都内で開催された、「Automotive Linux Summit Spring 2013」(主催:The Linux Foundation)。同イベントでは、車載情報機器への採用が広がりつつあるLinuxや、それと関連する開発プロジェクトの最新情報が紹介された。本稿では、ジャガーランドローバーとルネサス エレクトロニクスによる2日目の基調講演をリポートしよう。 - Intelの車載情報機器に対する深いこだわりから生まれた「Tizen IVI」
Linuxベースの車載情報機器向けプラットフォームである「Tizen IVI」。本稿では、車載情報機器に深いこだわりを持ち、IVIという言葉を提言したIntelのみならず、トヨタ自動車をはじめとする自動車メーカーやティア1サプライヤ、半導体メーカー、ソフトウェアベンダーなどが開発に参画しているTizen IVIについて解説する。 - HTML5プラットフォームを志向する「Tizen IVI」の特徴
Linuxベースの車載情報機器向けプラットフォームである「Tizen IVI」。前編では「Moblin for IVI」から始まり、Tizen IVIに至るまでの歴史と、Tizen IVIの開発に関わるさまざまな組織について紹介した。後編では、HTML5プラットフォームへの志向を強めるTizen IVIの特徴について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.