インダストリー4.0に対し日本企業が取り組むべきこと:ハノーバーメッセ2015 リポート(後編)(3/3 ページ)
ハノーバーメッセ2015のメインテーマとなった「インダストリー4.0」だが、本連載では、現地での取材を通じて、インダストリー4.0に関する動きを3回にわたってお伝えしている。後編の今回は、ドイツのインダストリー4.0に対し、日本企業が取り組むべきことについて考えてみたい。
ドイツと米国が接近する気配も
インダストリー4.0がグローバルにおける標準化を狙う上で、存在が気になるのが米国の存在だ。米国ではIoTを活用した製造業の高度化を進める団体として、GEが主導するインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)が活動を行っている(関連記事:産業機器向けIoT団体「IIC」、その狙い)。
同団体は、製造業に限った話ではなく、IoTの幅広い産業実装を想定した団体だが、製造現場向けに限ってはGE主導で実践を進めており、規格化の動きも早そうな気配を見せている。オープンコンソーシアムであるので、既に数多くの日本企業も参加しており、日本に拠点を作るという話も出始めている。ただ一方で、ドイツ側もIICには熱心なアプローチを進めており、インダストリー4.0とIICの両方に参加する企業数も増えてきている。
ハノーバーメッセ2016のパートナー国は米国
これらを背景とし、気になってくるのが「2016年のハノーバーメッセがどうなるのか」という点だ。ハノーバーメッセでは毎年パートナーカントリーを選定し、その国およびその国の企業とドイツとの協力関係などをアピールする機会が設けられている。2015年についてはパートナーカントリーはインドだったが、2016年のパートナーカントリーは実は米国なのだ。
インダストリー4.0は2011年のハノーバーメッセで発表されたため、毎年のハノーバーメッセはインダストリー4.0の進捗確認の意味も含めた重要な場となっている。その意味では、インダストリー4.0の具現化を目指すドイツが、ハノーバーメッセ2016において、一気に米国と近づき、標準化を進める可能性もあるだろう。
この状況になった時、日本に不利な標準化が進む可能性は否定できなくなる。日本発の標準化が難しいのであれば、まずは標準を策定する舞台にいち早く立つことが、何よりも重要になるのではないだろうか。
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