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“出血”が止まりつつあるソニーに忍び寄る、為替と“1本足打法”のリスク製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

ソニーは2015年3月期(2014年度)の決算を発表し、課題事業が着実に回復傾向を見せ始めていることを示した。成長へのシフトチェンジを目指す中で、リスクとして2つのポイントが浮上してきている。

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 ソニーは2015年4月30日、2015年3月期(2014年度)の決算を発表した。長く取り組んできた構造改革がようやく着実な効果を発揮し、テレビ事業が11年ぶりの黒字となった他、その他課題事業についてもほぼ計画通りの実績を残し、ようやく回復への道筋が見え始めてきた。2015年度(2016年3月期)については、スマホを中心としたモバイル事業の構造改革を進めるとともに「将来に向けての投資を進める1年とする」(ソニー 代表執行役 EVP兼CFOの吉田憲一郎氏)としている(関連記事:エレ各部門を分社化するソニー、復活のカギはリカーリング事業にあり!?)。



テレビ事業は11年ぶりの黒字化を達成

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ソニー 代表執行役 EVP兼CFOの吉田憲一郎氏

 ソニーでは2014年度を「構造改革をやり抜く1年」と位置付け、本社と海外販社の再編など、さまざまな再建施策に取り組んできた。構造改革の目標数値としていた「販売会社費用の20%削減」および「本社間接費用の30%削減」については「ほぼ計画通り実施し、年間の固定費は2013年度比で1100億円分削減することに成功した」(吉田氏)という。新たに業績が悪化したスマートフォンを中心としたモバイル事業については2015年度(2016年3月期)に構造改革を実施するが、その他の事業についてはようやく“底”を打ちつつある状況だ。

 一方で、CMOSセンサーをはじめとするデバイス事業が好調を持続し、ゲーム関連事業も安定した収益を残せるようになってきた。これらの取り組みにより、ソニーの2014年度の業績は売上高が前年度比5.8%増の8兆2159億円、営業利益が同2.6倍となる685億円、当期純損失が同24億円改善の1260億円の赤字となった。セグメント別で見ても、構造改革を進めるスマートフォンを中心としたモバイルコミュニケーション事業や、ディスク事業で特別損失が発生した「その他事業」を除くと、全セグメントで営業黒字を達成している。

 特に長らく課題事業として、多くの赤字を生み出してきたテレビ事業については、売上高が前年度比10.7%増の8351億円、営業利益が同340億円改善し83億円の黒字となった。ソニーのテレビ事業の通期黒字は、2003年度以来で実に11年ぶりに通期黒字を達成したことになる。

 吉田氏は「テレビ事業については量を追わずに固定費を削減し、販路も絞ってきたことが黒字化につながった。大きな固定費を抱える海外販社を維持していく上でもテレビ事業が持続的に利益を生み出せる構造になっているかどうかということは大きな意味を持つ。2015年度は新製品の投入遅れなどから第1四半期については赤字になるかもしれないが、基本的には通期黒字を続けていけると見ている」と述べている。

photophoto 2014年度の連結業績概要(左)とセグメント別の連結業績概要(右)(クリックで拡大)※出典:ソニー

2015年度は投資の1年に

 一定の成果を残した2014年度の総括として「2014年度は大きく分けて3つの点がポイントだったと考えている。1つはエレクトロニクスの“止血”だ。PCの売却など大きな改革も含めてさまざまな施策を地道に実行できたことが、エレクトロニクスにおける各事業の“出血”を止めることにつながってきた。また、2つ目が事業の仕分けを行い、それぞれのフェーズを明確化したことが今後の方向性を決めるのに貢献した。そして3つ目が、長期においてソニーをどういう企業にしていくのかということに対して腹を決めることができた点だ。この長期的な展望に立って2015年度は投資を行う1年としていく」と吉田氏は語る。

photophoto 2015年度の連結業績見通し(左)とセグメント別の連結業績見通し(右)(クリックで拡大)※出典:ソニー

1年間で構造改革をやり抜くモバイル事業

 2015年度に残された構造改革領域であるモバイル事業については「他の事業に比べて1年遅れとなったが構造改革を進めていく。人員の3割削減、オペレーションコストの3割削減を実施する」(吉田氏)という。また製品展開としても、製品軸、地域軸での構成を収益重視のモノと変え、製品では中級機の比率を下げ、高付加価値製品の比率を高めていく方針。地域では不採算地域を縮小していく。事実上、中国市場からは撤退ということになる。「2016年度からはフルで構造改革の成果を出せるように2015年度で全てやり抜く方針だ」(吉田氏)としている。

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モバイルコミュニケーション事業の売上高と営業利益の推移(クリックで拡大)※出典:ソニー

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