ソニーのスマホ事業はもう成長できない!? 1800億円の減損を発表:製造マネジメントニュース
ソニーは、スマートフォン「XPERIAシリーズ」などを中心とするモバイル・コミュニケーション(MC)分野の中期計画を見直し、同分野の営業権(のれん代)全額に当たる減損約1800億円を2014年度第2四半期(7〜9月期)の営業損失として計上する。
ソニーは2014年9月17日、スマートフォン「XPERIAシリーズ」などを中心とするモバイル・コミュニケーション(MC)分野の中期計画を見直し、同分野の営業権(のれん代)全額に当たる減損約1800億円を、2014年度(2015年3月期)第2四半期(7〜9月期)の営業損失として計上する見込みになったと発表した。
これにより同年7月に発表した2014年度通年の連結業績について、利益業績全てで1800億円の下方修正を行う。売上高は7兆8000億円から変更しないものの、営業損益は1400億円の黒字から400億円の赤字に、税引き前損益は1300億円の黒字から500億円の赤字に、当期純損失は500億円の赤字から2300億円の赤字となる。
今回のMC分野の減損は、2014年7月に発表した中期計画の見直しを行う中で、従来の中期計画と比べると将来的にMC分野のキャッシュ・フローが低くなり、公正価値が減少する見込みとなったためだ。ソニーによれば、「従来のMC分野の中期計画では、売上高の大幅な拡大を目指していた。今回策定し直した中期計画では、モバイル事業の市場や競争環境が大きく変化したことを踏まえ、事業リスクや収益変動性を低下させ、より安定的に収益計上が見込めるよう、MC分野の戦略の変更を行っている。今後は、一部地域における戦略の見直し、高付加価値ラインアップへの集中、普及価格帯モデルの削減といった施策を進める」という。
ソニーのモバイル事業は、中国をはじめ新興国市場で普及価格帯のスマートフォンを拡販しシェアの向上を図るというのが成長戦略の中核になっていた。しかし、普及価格帯のスマートフォンではXiaomiなどの中国企業に先行されており、計画通りの販売を実現できていない。
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