ソニー、PC事業を売却してもテレビ事業を分社化してもなお、見えない光:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
ソニーは、エレクトロニクスの再編計画を発表。「VAIO」ブランドで展開していたPC事業を日本産業パートナーズに売却する他、テレビ事業を分社化することを決めた。さらにこれらに関連する開発、生産、販売などの人員整理を行い、エレクトロニクス部門の早期の黒字転換を目指す。
ソニーは2014年2月6日、再建を進めるエレクトロニクスの再編計画を発表した。2014年7月をめどに、「VAIO(バイオ)」ブランドで展開していたPC事業を日本産業パートナーズ(以下、JIP)に売却することを決めた他、テレビ事業を分社化する。さらにこれらに関連する開発、生産、販売などの人員整理を行い、エレクトロニクス部門の早期の黒字転換を目指す。なお、売却したPC事業はJIPが設立する新会社で継承され「VAIO」ブランドのPCについては、開発・販売が継続される見込みだ(関連記事:ソニー、PC事業売却を正式発表)。
「ソニーのPC事業」は終息、「VAIO」は新会社で継続
会見で登壇したソニー 代表執行役社長 兼 CEOの平井氏は「PC事業とテレビ事業は2014年3月期中の黒字化を目指したが難しくなった。エレクトロニクス事業では、デジタルイメージング(デジカメやビデオカメラ、CMOSセンサーなど)、ゲーム・ネットワークサービス、モバイル(スマホ、タブレット)の3事業を中核と据える中で、その他の事業ポートフォリオの再編を目指し抜本的変革プランとして、PC事業の売却とテレビ事業の分社化を決めた」と話した。
「VAIO」ブランドで1996年から展開してきたPC事業は、事業再編や分社化などを支援するファンドのJIPに譲渡する意向確認書を締結した。今後両社による協議と審査などを経て、2014年3月までに正式契約を締結する予定だという。その後、JIPが設立する新会社にソニーのPC事業および関連資産を承継し、VAIOブランドの事業を継続する。ソニーは新会社へ5%分の出資を行い、事業承継などを円滑に行えるようにする。
ソニー本体としては2014年春モデルでPC事業を完全に終息し、今後はモバイル関連ではスマートフォンとタブレットに集中していく方針だという。タブレットとPCの境界領域の製品については「Windows搭載の製品などはPC事業として新会社に移管する」(平井氏)としている。
製品面とオペレーション面の両面で貢献したVAIO
ソニーのPC事業は、2010年に事業本部を製造拠点であった長野県安曇野市に移転しており、こちらで開発から生産までを一貫して行っている(関連記事:“みんなここにいる”の強さ――長野発「ソニーのVAIO」が尖り続ける理由とは)。新会社はこの長野テクノロジーサイトをオペレーション拠点とし、当面は国内を中心にPCの企画、設計、開発、生産を行うという。また新会社の経営陣には現在PC事業を率いている赤羽良介氏が入る予定だという。
ただ、現在1100人いるPC事業関連の人員から、新会社へ移る社員は250〜300人だという。残りはソニーの他部門への配置転換もしくは、早期退職という形になる。
PC事業終息について平井氏は「VAIOは普通ではない“ソニーらしさ”を持った機能やデザインで製品軸の柱としての価値だけでなく、オペレーション面でもサプライチェーン管理の運営などでも先端を走っていた。その両面で大きく貢献してくれた事業だった。こうして苦渋の決断をせざるを得なくなったが、これらの貢献によって得られたものを他の事業に生かしていきたい」と話している。
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