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NEC、スマホ事業“前向き”な撤退――脱“モノ”売りを加速製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

NECは、NECカシオモバイルコミュニケーションズが担っていた携帯電話端末事業を見直し、スマートフォン事業からの撤退を正式発表した。同社は、主力の社会ソリューション事業に集中する「前向きな撤退」ということを強調した。

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 NECは2013年7月31日、2014年3月期第1四半期の決算とともに、NECカシオモバイルコミュニケーションズが担う携帯電話端末事業の見直しを発表。スマートフォンの新規開発を中止し、事業から撤退することを明らかにした(関連記事:NEC、スマホ撤退を正式発表――ガラケー、タブレット事業は継続)。




B2Bへのシフトを鮮明にした中期計画

 NECは2013年4月に、2016年3月期までの3カ年の中期経営計画「2015中期経営計画」を発表。その中で同社は社会インフラ構築に関係する「社会ソリューション事業への注力」「アジアへの注力」「安定的財務基盤の構築」の3つの方針を示している。

 社会ソリューション事業は、官公庁向けの「パブリック」、通信基地局などの「テレコムキャリア」、一般企業向けITの「エンタープライズ」、スマートグリッドなどの「スマートエネルギー」で構成。B2B(業務向け)分野へのリソースの集中を明確化したといえる。この流れの中で、B2C(一般消費者向け)分野であるスマートフォンへの位置付けは同社内で下がってきていた。

 さらにスマートフォン事業での大苦戦がある。NECの携帯電話端末事業とカシオ日立モバイルコミュニケーションズが統合して2010年5月に生まれたNECカシオモバイルコミュニケーションズだが、携帯電話端末市場がスマートフォンへ移行する中、製品力のあるスマートフォンを生み出せず、海外勢などにシェアを奪われた。

携帯電話端末の販売は前年同期比44%減

NEC取締役 執行役員 兼 CFOの川島勇氏
NEC取締役 執行役員 兼 CFOの川島勇氏

 NECの2014年3月期第1四半期の携帯電話端末の販売台数は45万台。そのうち45%がスマートフォン端末で、55%が従来型携帯電話端末(フィーチャーフォン、いわゆるガラケー)となった。競合他社がスマートフォン比率を高めている中、同社の比率は半数を割っている。また販売総数で見ても、主力取引先だったNTTドコモの注力機種、いわゆる「ツートップ」に入らなかったこともあり、2013年3月期第1四半期と比べて約44%減という惨状だ。

 NECは2011年にPC事業を中国レノボに売却したこともあり、携帯電話端末事業についてもレノボへの売却を検討する動きもあったが結局交渉は実らなかった。今回スマートフォン事業については2013年7月31日をもって新規開発を中止。現行機種をもって生産・販売を終了することを決めた。

 NEC取締役 執行役員 兼 CFOの川島勇氏は「スマートフォン事業については、取り組みが遅れたこと、魅力ある製品を世に送り出すことができなかったこと、の2点が事業をうまく運営できなかった原因だ。交渉相手や取引先など社外の問題ではない」と話している。

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