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ソニー、復活へ道半ば――鍵を握る“感性価値”商品製造マネジメントニュース(1/3 ページ)

ソニーは2015年3月期に売上高8兆5000億円、営業利益率5%以上、ROE10%の中期目標を発表した。しかし、中核と位置付けるエレクトロニクス主力3事業では積極投資を進めるものの、前回発表した目標数値を下方修正し、復活への道が容易ではないことをうかがわせた。

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 ソニーは2013年5月22日、2015年3月期までの3カ年計画を発表し、売上高8兆5000億円、営業利益率5%以上、ROE10%を目指す方針を示した。課題のエレクトロニクス事業の目標は、売上高6兆円、営業利益率5%で、2012年4月に発表した従来目標から変えていないが、デジタルイメージング、ゲーム、モバイルの中核3事業については、目標を引き下げた。

 同社は5月9日に発表した2013年3月期の決算において黒字化を達成(関連記事:ソニー、2013年3月期で最終黒字化――今期の設備投資は半導体中心に)。ただ、目標としていたエレクトロニクス事業の黒字化については実現できなかった。

 同社社長兼CEOの平井一夫氏は「黒字化を達成でき、2014年3月期は、変革の7合目から8合目からスタートできる」と一定の手応えを語った。エレクトロニクス黒字化に向けて、コア事業の強化、テレビ事業の再建、新興国での事業拡大、新規事業の創出、事業ポートフォリオの見直し、の5つの重点施策を推進。また、これらに基づいた資本売却の一方で、オリンパスとの医療事業合弁会社の設立や米国Gaikaiの買収、CMOSセンサーへの投資拡大などの戦略投資を進めてきた価値について強調した。

エレクトロニクス5つの重点施策戦略的投資と資本売却 2013年3月期のエレクトロニクス重点施策(左)と2013年3月期に行った戦略投資と資本売却(右)(クリックで拡大)

 「この1年間数多くの国内外グループ会社、生産拠点、研究拠点、パートナーや販売店、エンドユーザーを訪問し、情報交換を進めてきた。その中で取り組む課題が明確化できた他、将来に向けてのソニーの潜在力を感じることができた」と平井氏は語る。

“感性価値”を持つ商品

 具体的には、商品面において「妥協なき機能価値を保持しながら、心を動かす感性価値を生み出さないといけない。現在のソニー製品はそれができているものがほとんどない」(平井氏)。

 その中で2013年3月期において“感性価値”を持つ成果として挙げたのが、スマートフォン「Xperia Z」(関連記事:「Xperia Z」に込められた“ソニーらしさ”)とハイエンドコンパクトカメラ「DSC-RX1」(関連記事:ミニマムボディから最高画質、そのギャップがたまらないフルサイズコンパクト――ソニー「DSC-RX1」)だ。

 「スマートフォン(のビジネス)は厳しい1年だったが、Xperia Zは日本、ドイツ、英国などで高い評価を得ることができた。またDSC-RX1は国内外のカメラ賞を受賞するなど高い評価を受け、ハイエンドコンパクトカメラ市場の開拓に貢献した」(平井氏)。2014年3月期は、さらに商品を強化していく方針だ。

2015年3月期の目標は前回発表と変わらず

 2015年3月期までの経営数値目標について今回は前回発表(2012年4月)変更せず、売上高8兆5000億円、営業利益率5%以上、ROE10%のまま。エレクトロニクス事業の目標も売上高6兆円、営業利益率5%と目標を据え置いた。

 2014年3月期は、この目標数値に向け、引き続き事業ポートフォリオの見直しなど構造改革や財務体質の強化を進めるとともに、持続的成長に向け特にコア事業の強化を推進する。

2015年3月期の数値目標2014年3月期の基本方針 2015年3月期の数値目標(左)と2014年3月期の基本方針(右)(クリックで拡大)

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