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ソニー、構造改革の打ち止めなるか!? テレビ事業が11年半ぶりの2四半期連続黒字製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

ソニーは2015年3月期(2014年度)第2四半期の決算発表を行った。構造改革の成果などにより、テレビ事業やゲーム事業の収益性回復が進む一方で、新たな課題として浮上したスマートフォンをはじめとするモバイル事業では苦戦が続き、先行きが見えない状況が続いている。

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ソニー

 ソニーは2014年10月31日、2015年3月期(2014年度)第2四半期(7〜9月期)の決算を発表した。構造改革の効果もあり、課題事業であったテレビ事業が2004年3月期(2003年度)第3〜第4四半期以来の2四半期連続の黒字を達成。一方で新たな課題事業として浮上したモバイル事業の苦戦は続いており、同年9月17日には同事業の減損約1800億円を発表。最終的に第2四半期の純損失は1360億円となった(関連記事:ソニーのスマホ事業はもう成長できない!? 1800億円の減損を発表)。



構造改革は進捗もモバイル事業の急落で暗雲

 同社の第2四半期の業績は、売上高が前年同期比7.2%増の1兆9015億円、営業損益は同995億円減となり856億円の赤字、税引前損益は同951億円減となる900億円の赤字、当期純損益は同1164億円減となる1360億円の赤字、という結果となった。

 上期(4〜9月)合計で見ると売上高は同6.5%増の3兆7114億円、営業損益は同652億円減となり158億円の赤字、税引き前損益は同721億円減となり216億円の赤字、当期純損益は同927億円減となる1092億円の赤字となった。

photophoto 2014年度第2四半期の連結業績概要(左)と上期合計の連結業績概要(右)(クリックで拡大)

 赤字の大きな要因となったのがモバイル事業だ。同社では従来、エレクトロニクスの主力3事業として、ゲーム、モバイル、イメージング関連事業の3つを重点分野と掲げて取り組みを進めてきていた。スマートフォンを含むモバイル・コミュニケーション分野の業績は、「XPERIA」シリーズによる高付加価値化戦略が奏功し販売台数が順調に拡大。2014年度は当初は大幅な増収増益を計画していた。しかし、市場全体の成長率鈍化があった一方で、小米科技(Xiaomi)がグローバルトップ3にのし上がるなど中国スマホメーカーが躍進し、伸ばそうとしていた普及価格帯製品が大苦戦(関連記事:サムスンのみ出荷数減少し続落――2014年7〜9月スマホ世界シェア)。

 2014年7月の第1四半期決算時には赤字転落した他、中期計画の見直しを発表。また同年9月17日には同事業の1800億円の減損を発表し、さらに同年10月30日にはスマートフォン事業を展開するソニーモバイルコミュニケーションズの社長交代を発表するなど、構造改革フェーズへと転落した(関連記事:ソニー、構造改革の“もぐらたたき”――復活したはずのモバイル事業が赤字転落)。今回の第2四半期決算でもこの1800億円の減損が響き、モバイル・コミュニケーション分野の営業赤字は1720億円にのぼった。

photophoto 2014年度第2四半期のセグメント別業績概要(左)と上期合計のセグメント別業績概要(右)(クリックで拡大)
ソニー 代表執行役 EVP兼CFOの吉田憲一郎氏
ソニー 代表執行役 EVP兼CFOの吉田憲一郎氏

 ソニー 代表執行役 EVP兼CFOの吉田憲一郎氏は「『構造改革をやり抜く』を掲げて取り組みを進め、見えていた範囲での収益性改善は進んできた。新たに問題となったモバイル事業の構造改革と収益性確立は最優先課題として取り組んでいく。地域や製品を絞り込み、収益性を確保できないところでは勝負しない体制とする。特に苦戦が目立つ中国事業は専用モデルの開発をストップし、大幅に縮小する」と述べている。スマートフォンの販売目標台数は、7月に700万台引き下げて4300万台としていたが、さらに200万台引き下げ、4100万台とする。

 また、新たにソニーモバイルコミュニケーションズの代表取締役社長 兼 CEOに就任する十時裕樹氏は「私のミッションは、モバイル事業の収益機能を強化すること。市場の変化が激しく、スピードが速まる中で、まず経営のスピードを上げる作業に取り組む」と抱負を述べている。

photophoto 2014年度通期の連結業績見通し(左)と通期の主力製品分野における販売台数見通し(右)(クリックで拡大)
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