ICTを活用した次世代型FA関連機器市場、2020年に約5兆円に成長:FAニュース(2/2 ページ)
富士経済は、インダストリー4.0やインダストリアルインターネットなど「ICTを活用した次世代型製造現場」に必要となるFA機器やシステムの市場調査を行い、展望をまとめた。
カテゴリー別市場
インテリジェント生産システムは3兆3030億円
インテリジェント生産システムには、生産管理、情報システムなどが当てはまり、全体市場の79%を占めている(2014年)。2014年は2兆231億円だったが、2020年には2014年比163.3%となる3兆3030億円市場になる見込みだ。
生産管理を担うFAシステムであるMES(Manufacturing Execution System)は、工場で設備や原材料の数量や状態をリアルタイムに把握し、生産計画に基づき、作業スケジュールの組み立てや指示出しなどを行う。これまで需要の中心であった欧米に加え中国でも需要が高まっており、今後MESの役割が増していくと予測する。一方、ERP(Enterprise Resource Planning)は、人・モノ・カネ・情報といった経営資源を一元管理するソフトウェアである。IoTをERPと連携させることで製造装置の稼働状況をリアルタイムに把握し、経営判断に活用できるようになる。パッケージ販売からクラウド、SaaSでの提供が増えており、同一サービスでの単価は下がりつつあるが、新興国向け需要の伸長により緩やかながら拡大が予想される。
インテリジェントコントローラーは867億円
インテリジェントコントローラーは、FA機器・システムの次世代型コントローラーで、全体市場の2%を占める(2014年)見込み。2014年が448億円だったのに対し、2020年には2014年比193.5%となる867億円市場になると予測する。
処理能力が高く柔軟性と拡張性があるPCベースコントローラーは、従来のマイコンベースコントローラーからの置き換えが進んでいる。現在分断されている製品設計、生産計画、生産エンジニアリング、生産実行をつなげ、柔軟な生産システムを構築するためには、情報系PCと制御系PLC(Programmable Logic Controller)などを融合させたPCベースコントローラーが重要となる。
インテリジェント製造装置・センサーは9842億円
インテリジェント製造装置・センサーは、ロボットやセンサーなどのフィールド機器が該当し、全体市場の7%を占める(2014年)。2014年が1850億円で、2020年には2014年比5.3倍となる9842億円となり、伸び率は最大となる見込みだ。
現在急速に拡大する製造用3Dプリンタの単価が高いこともあり、市場をけん引している。また双腕ロボットや安全対策ロボットは市場形成段階であり今後の拡大が期待される。
スマート工場がカバーする領域は広く、これまでのFA企業に加えて、ICT企業も注力している。全てを1社で対応することは難しいため、自社で不足する技術はアライアンスで補う企業が多く、企業間の協力体制が多方面で構築されていくと予測されている。
第4次産業革命は日本の製造業に何をもたらすのか――「インダストリー4.0が指し示す次世代工場の姿」コーナーへ
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