ロボット市場は好調持続、中国の生産現場の自動化が加速:製造ITニュース 市場調査
富士経済は、世界の製造業向けロボット市場の調査・分析を行い、2020年までの市場予測を発表した。
富士経済は、製造業向けロボットおよび規制緩和が進む非製造業向けロボットの市場を調査し、2020年までの市場予測を発表した。製造業では自動車向けでアジアなど成長市場での自動化が進むことにより、2020年までに2012年比1.6倍と着実な成長が予測されている。
今回の調査は、2012年12月から2013年3月にかけて行われ、製造業向けロボット4カテゴリー15品目とその構成部材6品目の世界市場、非製造業向けロボット4カテゴリー12品目の国内市場を分析したもの。
ロボット市場は、自動化が進む製造業向けが中心だが、調査結果によると2012年の製造業向けロボット市場は前年比2.0%減の4003憶円と減少。自動車関連やスマートフォン・タブレット関連の設備投資を中心に数量ベースでは増えたものの、価格下落の影響やガラス基板搬送ロボットが大幅に落ち込んだ影響などから市場は微減となった。
カテゴリー別では、自動車関連の設備投資が中国、韓国、タイ、インドネシア、メキシコ、ブラジルなどで積極的に行われ、日本国内でも日系自動車関連メーカーのトランスプラント向けを中心に需要が増えたことで、スポット溶接ロボットや塗装ロボットが大きく成長した。
アクチュエータ系ロボットは、自動車関連やスマートフォン・タブレット関連の活発な設備投資の恩恵を受けて拡大したが、後半から中国市場の伸びが止まり成長のペースが鈍化している。組立・搬送系ロボットは、中国経済の停滞により成長ペースが鈍化。ガラス基板搬送ロボットも大型テレビ向けの設備投資が激減したことにより縮小した。
2013年は、中国、タイ、インドネシアなどアジア地域に加え、米国、日本でも拡大が期待されている。中国では人件費の高騰や品質に対する意識の高まりにより急速に自動化が進行すると予測。またチャイナリスク対策として欧米や日系企業は中国以外の地域での生産展開を図る動きを始め短期的にはタイ、インドネシア、長期的にはインド、ベトナム、ミャンマーなどでの需要拡大が見込まれている。2020年には、12年比161.3%となる6455憶円と市場を予測する。
一方、規格策定や規制緩和により、成長する国内の非製造業向けロボット市場は、家事・生活支援や医療・介護・福祉カテゴリーが市場をけん引し、2012年は前年比2.3倍の298億円となった。
2013年にはパーソナルケア・ロボットの国際安全規格「ISO 13482」の概念規格がまとめられ、2015年以降に具体的な安全設計手順や基準が策定される見通しだ。そのため参入メーカーの増加、安全基準の担保により市場形成が進み、成長が加速。ロボットによる自動化、省力化ニーズが高い医療・介護・福祉が急成長し、2020年には2012年比3.8倍の1127億円市場となることが予測されている。
ロボット開発の最前線
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- >>「ロボット」特集
- 「ロボット大国だとは全く思っていない」〜産業用ロボット世界シェアNo.1の安川電機(前編)
日本は産業用ロボットの出荷台数・稼働台数で世界一を誇る。一番多く作って、一番多く使っているのだ。自動車の大量生産を追い風に、1970年代後半、国内で初めてオール電気式の産業用ロボットを発売し、今なおロボット開発に情熱を注ぎ続ける安川電機に、産業用ロボット市場の動向について伺った。 - シーイーシー、東大発ベンチャーMUJINと産業用ロボット向けサービス
シーイーシーと東大発ベンチャーのMUJINが、産業用ロボット向けサービス「RoboDiA(ロボディア)」の提供を開始。産業用ロボットの最適軌道や最適レイアウトの算出・検証時間を大幅に短縮できるという。