製品試験の外部委託が加速? OKIエンジニアリングが新拠点を設立:製品評価・試験サービス(2/2 ページ)
OKIエンジニアリングは新たに日本電子部品信頼性センターの設備と人員を譲り受け「西東京試験センタ」を稼働させた。同社が製品や部品の評価や試験を行う拠点はこれで3拠点目となり、試験能力は新拠点の開設前に比べ25%向上するという。
年平均20%の成長を
西東京試験センタの現在の顧客を業種別で見ると、自動車関連と産業・工作機械関連が約4分の1という大きな比率を占めているが「これらの分野もちろんだが、今後は航空・宇宙や精密機械の領域で伸ばせると見ている。これらの領域を第3の柱として育てていきたい」と浅井氏は話している。
また、西東京センタを含むシステム評価事業部の事業部長である中嶋龍一氏は「RCJとOKIの設備に加えて、それぞれの顧客のニーズにうまく応えていくことで、大きく伸ばしていけると感じている。新拠点での売上高は2017年度まで年平均20%の割合で成長させられるようにしたい」と抱負を述べている。
なぜ外部製品試験サービスが増加するのか
新拠点も含め順調な成長を遂げているOEGだが、要因にはどういうことがあるのだろうか。そこには主に3つの要因があるそうだ。
1つ目は機器や製品が複雑になってきていること。例えば、精密機械などを見た場合「使用する部品は小さく、デバイスは微細化が進み、より高い精度でさまざまな検証を行う必要が出てきている。モノそのものとして、評価や検証を行わなければならない部分が増えているということがある」と浅井氏は述べる。
2つ目が規制の存在だ。車載機器や医療機器、航空・宇宙関連では、人命への影響も大きく、厳しい規制が存在し、それを評価するためには、検証する機器やノウハウが必要になる。これらの領域では電子化や新たな技術革新が現在活発に起こっている状況であり、それらを評価しなければならない場面が増えているといえる。
3つ目が、これらの評価・検証機能を大企業でも自社内に抱えることが難しくなっているということが挙げられる。評価・検査関連の機器をそろえるためには、莫大な費用が必要になる一方で、製品に付加価値をもたらすわけではない。しかも、新たな技術が登場するたびに新しい設備が必要になる。これらに対して投資を行い続けることが難しくなりつつあるというのだ。実際に「検査・評価機器を保有していない中堅・中小製造業だけでなく、大企業からの依頼も増えている」と浅井氏は語る。
最新の設備で、専門企業に依頼する方が結果も正確でコスト的にも安くなるというメリットがある状況になりつつある。今後もこれらの傾向は進むと見られるため、外部試験サービスには追い風が吹いているという。
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