強くて臭くないフィラメント材料と、ぐにゃりと曲げられるフィラメント材料:3D Printing 2015
JSRは、3Dプリンティング技術の展示会「3D Printing 2015 Additive Manufacturing Technology Exhibition」に出展し、同社独自のポリマー技術を活用して開発した熱溶解積層式3Dプリンタ用フィラメント材料「FABRIAL(ファブリアル)」に関する展示を行った。
JSRは2015年1月28〜30日の3日間、東京ビッグサイトで開催されている3Dプリンティング技術の展示会「3D Printing 2015 Additive Manufacturing Technology Exhibition(以下、3D Printing 2015)」に出展し、同社独自のポリマー技術を活用して開発した熱溶解積層式3Dプリンタ用フィラメント材料「FABRIAL(ファブリアル)」に関する展示を行った。
展示ブースでは、FABRIALシリーズの製品第1弾として同年1月19日に発表された「FABRIAL Pグレード」を紹介(関連記事:PLA樹脂の強度を高めた3Dプリンタ用フィラメント材料)。FABRIAL Pグレードは、PLA(ポリ乳酸)樹脂で強靭さを高めたフィラメント材料で、従来のPLA樹脂などに比べて折れにくい特性がある。
実際、一般的なPLA樹脂フィラメントを指で強く曲げるとポキリと折れてしまったが、開発品のFABRIAL Pグレードを用いたフィラメントは折れることはなかった。「造形中のフィラメントの折れを防ぐことで、3Dプリンタを長時間、安定して稼働させられる」と説明員。FABRIAL Pグレードは造形後の強度も高く、そのまま製品として用いることが可能で、後加工(サンドペーパー処理など)にも十分耐えられるという。
また「臭いについても違いがある」と説明員。一般的なPLAフィラメントだと造形物に特有の嫌な臭いが残る場合があるが、FABRIAL Pグレードで造形するとその臭いが大幅に軽減されている。実際に両フィラメントで出力した造形物の入った小瓶の臭いをかいでみたが、FABRIAL Pグレードの造形物は無臭に近かった。現在、FABRIAL Pグレードの供給は可能な状態にあるという。「JSRとしてフィラメントを販売するかは未定。材料をフィラメントに加工できる企業であれば、すぐにFABRIAL Pグレードを用いたフィラメントを製品化していただける」(説明員)。
SFC田中浩也氏と共同開発を進める柔らかいフィラメント材料
さらに、慶應義塾大学 准教授の田中浩也氏と共同開発を進めている熱可塑性エラストマーを用いた熱溶解積層式3Dプリンタ用フィラメント材料「FABRIAL Rグレード」の参考展示も行っていた(関連記事:FDM方式3Dプリンタで曲げられるものを作る、慶大とJSRが共同開発)。
FABRIAL Rグレードを用いたフィラメント(開発品)を実際に触ってみると柔軟性が高く、出力した造形物も柔らかいゴムのようにぐにゃりと曲げられるほど。「2015年の春くらいに製品として発表できればと考えている」(説明員)。
なお、ブース正面にはデモ用の3Dプリンタが設置されていたが、会期初日の昼前の段階では「調整中」の張り紙とともに、幕で中の様子が分からないようになっていた。
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