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ビッグデータがキター! 富士通が太鼓判を押す「モノづくりデータ活用」の波製造ITニュース

バズワードとしてもてはやされてきた「ビッグデータ」だが、いよいよ製造業での利用が本格化してきそうだ。富士通 執行役員常務 CTO&CIOの川妻庸男氏は「今年(2014年)はモノづくり(でデータ活用)が動く」と強調し、製造ラインのデータなどを活用するソリューションを積極的に提案していく方針を示した。

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 富士通では2014年5月13日、ビッグデータへの取り組みについて方針発表を行い、従来の提案の中心だった情報システム部門ではなく、業務部門に向けた提案を強化していく方針を示した。特に製造業については「モノづくり(製造ラインで使われるデータ活用)が2014年に動く」と宣言。ラインの故障予測やセンシングによるデータ収集と知見のフィードバックなどを積極的に活用するソリューションを展開していく方針を示している。



「経験と勘」を「データによる相関関係」に置き換え

 多くの業界で最近注目を集めている「ビッグデータ」。ここ数年はIT企業を中心にバズワードとしてもてはやされてきたが、実際のビジネスでは効果が見えづらく、なかなか活用が進まない状況が続いてきた。

 「ビッグデータ」そのものは新たなバズワードとして登場したが、そこに内包される製品やソリューションはそれほど新しいものではなく、言い換えると「データ活用」に近い意味となる。ただ、IoT(Internet of Things)などにより、そのデータ量が膨大となり、また処理量も膨大になることから、人間の経験や勘だけでは、気付けなかった相関関係などを、よりビジネスに直結するような形で、見つけられるという点が大きな違いだ。

 例えば、インターネットに接続されたモノについては、2013年は100億個程度だったのが、2020年には500億個以上になるといわれている。また、自動運転車であれば毎時3.6TB、ジェットエンジンであれば毎時20TBのデータが生成され、日々生み出されるデータ量は加速度的に増えている状況となっている。

 これらの流れから富士通では、「ビッグデータイニシアチブ」として、ビッグデータ関連の製品やサービスを体系化して提案を強化。オファリング(課題解決テーマ、課題解決メニュー)なども策定し、ユーザーが利用しやすいような形で商品化を進めてきた(関連記事:サプライチェーンの需要予測やM2Mでのビッグデータ活用を容易に――富士通)。

富士通 執行役員常務 CTO&CIOの川妻庸男氏
富士通 執行役員常務 CTO&CIOの川妻庸男氏

 富士通 執行役員常務 CTO&CIOの川妻庸男氏は「従来は人間のKKD(勘、経験、度胸)で片付いてきた領域が、IoTなどで取得できるデータ量が膨大になり、人力で処理することが難しくなってくる。データをより有効に活用し、知見を獲得するには、従来の情報システムや限られたデータサイエンティストだけでなく、業務部門で実際に業務を行う人々が簡単に使えるようにし、より多くの価値を感じてもらうことが重要だ」と語っている。

1175京通りの因子から相関性を導き出す

 実際に同社が業務部門にデータ解析を導入した小売店の事例では、商品群、価格、食品に関するデータ、気象や気温など、1300種類以上の因子についてそれぞれの組み合わせを探り、1175京通りにも及ぶ因子の列の総数から、売上高と連動性の高い因子を導き出すことができたという。川妻氏は「相関関係が見えたことで、次はどうすべきか予測が立てられることになる」と語る。

 またビッグデータ分析とウェアラブルデバイスを活用した設備保守における実証実験なども開始。設備やウェアラブルデバイスなどから送られる情報をネットワークを経由で収集し、それを分析することで、故障余地などを行う。実際に水関連設備のメタウォーターと共同で、浄水場の設備保守点検作業でウェアラブルデバイスとビッグデータ分析の実証実験を行っている。

ビッグデータ分析とウェアラブルデバイス
ビッグデータ分析とウェアラブルデバイスを組み合わせた設備点検の活用例(イメージ)。設備のQRコードを認識し、ヘッドマウントディスプレイに作業指示を表示するなど、作業支援が行える

 その他、オムロンと共同でプリント基板表面実装ラインの品質向上および生産性改善のためにビッグデータ分析を行う実証実験なども行っており(関連記事:モノづくりをビッグデータ分析! 富士通がオムロン草津工場で実証実験開始)、特に製造業の生産ラインや保守点検などでの実需の期待が高まっているという。

モノづくりのデータ活用が動く2014年

 ビッグデータの活用について川妻氏は「モノづくりは2014年、動く」とし、特に従来ICTの力があまり活用されてこなかった製造ラインでの活用が進むと強調する。

 「従来は製造ラインでは個別機能の最適化は進んでいたが、今後は製造ライン全体が1つの自律的なロボットとして自動で稼働するような世界に進むと見ている。その際に各種生産設備や、それに取り付けられたセンサーから得られるデータをリアルタイムで集めて、分析し処理するようなことが必要になる。既に富士通内では実証実験なども進めているが、製造業の全業種において、モノづくり分野でのデータ活用は大きく進むだろう」と川妻氏は語っている。


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