いまさら聞けないFL-net入門:産業用ネットワーク技術解説(4/4 ページ)
オープンPLCネットワークの「FL-net(エフ・エル・ネット)」をご存じでしょうか。工場のさらなる高度化が進む中、工場ネットワークのオープン化は加速しています。その中でPLCの相互互換性を確保するオープンPLCネットワーク(OPCN)にも注目が集まっています。OPCNを実現する「FL-net」の誕生背景やメカニズム、活用シーンなどを解説します。
メッセージ伝送
メッセージ伝送はサイクリック伝送とは異なって、周期的ではないデータ交換機能です。任意のタイミングで任意の要求を指定相手ノードへ送信できます。厳密にはトークンを獲得したときにメッセージフレームが送信されることで実現されます。一度に送信できるデータ量は1024バイト以内です。要求の内容はメッセージフレームに含まれるトランザクションコード(TCD)で示され、相手ノードからの回答は応答メッセージとして受け取ることができます。要求、応答ともに相手ノードが受信したことを示すACKによるハンドシェイクが自動的に行われるので信頼性が高められています。
例えば、運転指令要求や停止指令要求メッセージを使うことで、システムを構成する全てのコントローラーの一斉制御ができます。
海外の動向
今まで見てきたように、FL-netはFAにおける機器間相互接続の標準化を実現したものです。しかし、残念ながらFL-netは日本固有のFA標準化に過ぎません。海外では同規格は標準となっているとは言い難い状況です。時には海外の動向に目を向ける必要があるかもしれません。
今、海外の製造現場で行われていることは、機器間通信だけにとどまらず、アプリケーションや情報系コンピュータ、あるいは拠点間レベルまでも含む相互接続性を果たす通信インタフェースの統一規格「OPC」による標準化です。世界が使うからそれが正しい選択であるとは限りませんが、井の中の蛙であってはいけません(関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】)。
生産技術やFA機器の領域では日本は世界で見ても主導的な立場を保っています。しかしFAにおける通信領域については、生産技術やFA機器ほどの立場は示せていません。今後世界の標準に合わせていくのか、もしくは日本の規格を世界に普及させていくのか、どちらにしても、標準化における海外との関係強化は必須であることは間違いありません。
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