進むビッグデータ連携、NTTと三菱重工がICTを活用した製品や工場で提携:製造ITニュース
NTTと三菱重工業は、NTTの研究所が持つICT分野の研究開発成果を、三菱重工の社会インフラ関連製品や国内外の工場・現場などに適用するための、研究開発連携を行う。
NTTと三菱重工は2014年4月28日、NTTが持つICT(情報通信技術)分野の研究開発成果を、三菱重工の社会インフラ関連製品や国内外の工場・現場などに適用し、新たな付加価値を創出するため研究開発連携を行うことを発表した。
NTTでは、異業種とのコラボレーションを通じて「○○×ICT」といったコ・イノベーション(共創・技術革新)を推進。一方の三菱重工は、2014年1月に全社のICT統括組織として「ICTソリューション本部」を設立し、ICTソリューション事業の新規発掘と拡大を目指すとともに、戦略的なアライアンスなどを活用して、製品の競争力強化、製品開発のスピードアップに取り組んでいる。
今回の研究開発連携のテーマは以下の3つの分野となる。これらのテーマの中から具体的な共同開発や共同実験などの活動を進めていく。
- 光ファイバー・センサー分野:NTTの光ファイバーやレーザー技術、電波の計測技術、さらに、生体情報計測技術などを活用し、三菱重工の製品の保守運用や製造現場などへの適用可能性を検討する
- ビッグデータ分野:三菱重工の製品の稼働状況や、コールセンターにおける顧客の声などのビッグデータを対象に、NTTのビッグデータ処理・分析技術の適用可能性を検討する
- AR/メディア処理分野:三菱重工の国内外の工場や現地工事現場などにおけるサポート担当者と作業者との遠隔コミュニケーションや作業効率向上に対して、NTTのAR(拡張現実)技術や映像・音声などのメディア処理技術の適用可能性を検討する
製造業では現在、ICTやビッグデータ活用による、新たなビジネスモデル構築や、モノづくりの能力を一段引き上げようという動きが活発化している。ドイツでは、政府がけん引役となり「インダストリー4.0」プロジェクトを推進している(関連記事)他、米国GEは「インダストリー・インターネット」をグローバル戦略として推進(関連記事)。実際にGEはソフトバンクテレコムと企業向けIoT(インターネット・オブ・シングス)/M2M(マシン・トゥ・マシン)ソリューション分野での戦略的提携契約を行うなど、協業の動きが相次いでいる。
ビッグデータを活用してどう勝ち残るか――「製造業ビッグデータ」コーナーへ
製造業におけるビッグデータ活用とは? ――。ビッグデータ活用による新たなビジネスチャンスの創出に大きな注目が集まりますが、その新たな価値は製造業の現場でどう生きるのでしょうか? 「製造業ビッグデータ」コーナーでは、製造業ならではのビッグデータ活用の最新情報をお伝えしています。併せてご覧ください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 製造業ビッグデータが本格化か!? GEとソフトバンクがM2Mで戦略的提携
ソフトバンクテレコムとGEソフトウェアは、企業向けIoT/M2Mソリューション分野での戦略的提携契約を締結した。予測分析ソフトウェアと通信機器をベースにM2M技術を組み合わせたプラットフォームの設計・開発・構築で協業し、日本およびアジア太平洋地域において展開を進める計画だという。 - ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】
「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉をご存じだろうか? 「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が産官学の総力を結集しモノづくりの高度化を目指す戦略的プロジェクトだ。インダストリー4.0とは何なのか。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。 - モノづくりをビッグデータ分析! 富士通がオムロン草津工場で実証実験開始
富士通は、オムロンの草津工場においてプロント基板表面実装ラインの品質向上および生産性改善のためにビッグデータ分析の実証実験を開始した。 - GEが100年にわたりイノベーションを生み続けられる秘訣とは
1892年の創立から100年以上もグローバルのトップ企業として存在感を発揮するGE。主要業務分野を変えながらイノベーションを続けるその秘訣には何があるのだろうか。GEのグローバルリサーチセンター日本代表を務める浅倉眞司氏に、GEのイノベーションへのアプローチと現在重視する技術の方向性について話を聞いた。