「日本は“ゴルフコース設計”に参加しないから“池”にはまる」IDEC藤田常務:SCF2013 ラウンドテーブル(後編)(1/2 ページ)
SCF2013のラウンドテーブル「日本のものづくりの未来が見える」では、IDEC 常務執行役員の藤田俊弘氏が「技術を磨くだけでなく、国際的なルールづくりの場に積極的に参加すべきだ」という主張を展開した。
2013年11月7日に開催されたシステムコントロールフェア(SCF)2013のラウンドテーブルでは、「日本のものづくりの未来が見える」をテーマに有識者が日本モノづくりの将来像について話をした。前編「『まねできる技術は守っても無駄、教えてしまえ』日本ロボット学会小平会長」では、日本ロボット学会会長の小平紀生氏が語った「産業用ロボットの製造業への影響力の高さや将来のためにどういう方向に向かうべきか」という内容についてお伝えした。今回の後編では、IDEC 常務執行役員の藤田俊弘氏が、国際的なルール作りの場に参加する重要性を訴えた講演内容を紹介する。
技術だけでは勝てない時代
IDECは産業用スイッチの大手メーカーであるが、国内で生産し続けるという方針を示している。しかし、日本の製造業はグローバル競争の中で厳しい環境に立たされている。経済産業省が公開した「2013年版ものづくり白書」の主要国の製造業競争力チャートによると、日本は技術力では主要国のトップであるものの、経営力、産業基盤としての競争力が低いという結果が示されている(関連記事:海外流出は是か非か、進む日本のモノづくり空洞化)。
また経済産業省が公開している資料「イノベーション基盤としての基礎認証制度の在り方」によると、世界市場は大きく成長しているにも関わらず、日本企業のシェアは低下を続けている様子が見える。
藤田氏は「日本企業は技術力では世界に認められながらも、グローバル競争に競り負けている。もはや技術で勝ってもビジネスでは勝てない状況だ」と技術以外の要素に力を入れない危険性を訴える。
国際標準化活動に失敗し販売量が激減
藤田氏は、日本が弱い分野として国際標準化活動への取り組みを挙げる。実際にIECへの国際標準提案件数では、欧米主要国などはもちろん、取り組みを強化する韓国や中国企業に及ばないケースも多いという。
「当社も国際標準化の問題では痛い目に合った経験がある」と藤田氏は語る。産業用スイッチの制御パネル取り付け穴について、日本は25mmの穴を採用していたが、米国は30mm、欧州は22mmを採用している状況だった。しかし国際標準化を進める際に、日本からIEC(国際電気標準会議)への提案を行わなかったために、IECでは30mmと22mmが国際標準とされた。そのため25mmは旧JIS規格の中では規格としてあるものの、欧米などに販売できなくなり、結果として25mm用スイッチの販売が大きく落ち込むことになったという。
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