Sysmacのコンセプトを具現化、汎用コントローラでロボットを制御:SCF2013
オムロンは、1台の汎用コントローラで3台のロボットを制御する包装システムのデモ展示を行った。このシステムは同社が提唱してきた、あらゆる制御機器を1つにつなぎ、1つのソフトウェアで統合的に制御するためのコンセプト「Sysmacオートメーションプラットホーム」に基づくものである。
オムロンは、「システム コントロール フェア(SCF) 2013」(2013年11月6日〜8日、東京ビッグサイト)で、1台の汎用コントローラで3台のロボットを制御する包装システムのデモ展示を行った。このシステムは同社が提唱してきた、あらゆる制御機器を1つにつなぎ、1つのソフトウェアで統合的に制御するためのコンセプト「Sysmacオートメーションプラットホーム」に基づくものである。また、モバイル端末を活用し、少ない保全要員で製造ラインのダウンタイムを最小化し、生産性を向上することができるメンテナンスシステムも参考展示した。
汎用性と堅牢性を高めたコントローラ
包装システムのデモ展示では、生産ライン上にある、色の異なる2種類の消しゴムを視覚カメラで確認し、同じ色の製品をロボットがピックアップし、その向きもそろえて並び替える、という作業を実演した。「今回は1台の汎用コントローラで3台のロボットを制御しているが、最大8台まで制御できる。ユーザーは、汎用コントローラでロボットを制御できることに高い関心を寄せている」(説明員)という。
Sysmacオートメーションプラットホームは、マシンオートメーションコントローラ「NJシリーズ」を核として、セーフティコントロールユニット「NXシリーズ」、画像処理システム「FHシリーズ」、サーボモータ/ドライバ「G5シリーズ」および各種I/OユニットなどをEtherCATネットワークで接続することができる。
NJシリーズの特徴は、MPUに「インテルAtomプロセッサ」を採用したことである。「これまでのFA用コントローラ製品は、独自の機能や性能を作りこんだ専用のASICを用いるケースが多かった。ASICの場合、システムの仕様を変更する際にソフトウェアの開発などが大変だった。一般的なFA用コンピュータでは堅牢性が十分に確保できないこともあった」(説明員)と話す。さらに、NJシリーズはAtomプロセッサを実装しつつ、システムの2重化やシステム立ち上げのシーケンスを工夫するなど、オムロンが長年蓄積してきたFAシステムのノウハウを取り込んだコントローラに仕上げた。
NJシリーズとして2014年には、処理性能をさらに高めた製品を発表する予定だ。詳細は明らかにしなかったが、最新のプロセッサを採用することで、現行の「NJ5」に比べて演算性能は3倍程度向上するものと思われる。
モバイル端末を活用し、製造ラインのダウンタイムを短縮
モバイル端末を活用したメンテナンス技術も参考展示した。製造ラインで何らかの不具合が発生し、ラインが停止した場合、管理室にいるエキスパート技術者が、製造ラインの復旧に向けてその対処方法などの指示を行う。この際、不具合を起こした場所の近くにいるオペレータは、エキスパート技術者からの指示をモバイル端末で確認し、迅速に対応するというもの。モバイル端末では作業手順や装置のマニュアルなどを確認できるという。作業が終了すればオペレータはその内容をモバイル端末に入力することで、エキスパート技術者も作業内容をいち早く確認することができる。
「ブラウザを使ったサービスなので、インターネットができるモバイル端末であれば、どのような機種でも対応できる。当社が開発した顔認識技術をモバイル端末に応用すれば、オペレータを特定することができ、システム運用上の安全性も一段と向上する」(説明員)と述べた。モバイル端末を活用したメンテナンスサービスについては、2014年秋ごろをめどに実用化する予定である。
関連記事
- 「人と機械が共生する生産現場」をSysmacで実現――オムロン
機械全体の制御を1つのコントローラで実現する“Sysmacオートメーションプラットフォーム”を基盤に「人と機械が共生する生産現場」を掲げるオムロン。SCF2013の同社ブースでは、それを実現するのための新技術・ソリューションが紹介される。 - オムロン、インテル Atom搭載の次世代マシンオートメーションコントローラ発表
オムロンは、ベースアーキテクチャを一新した次世代コントローラ製品「マシンオートメーションコントローラ Sysmac NJシリーズ」、およびソフトウェア製品「マシンオートメーションソフトウェア Sysmac Studio」を発表した。 - オムロン逆転の発想、「カイゼン」と「省エネ」は同じことだった
生産のQCD(品質、コスト、納期)を見直すカイゼン活動は、現場力の見せ所だ。一方、省エネはこれまで現場から離れた工場の管理部門の役割だとされてきた。QCDと省エネを同じ目線で捉えると何ができるのだろうか。オムロンの事例を小寺信良が紹介する。 - 工場の省エネにカイゼンの気付きを――オムロン、省エネ大賞受賞の工場省エネツール「環境あんどん」を商品化
オムロンは、2012年度省エネ大賞で「経済産業大臣賞」を受賞した省エネ改善事例で使用したエコ モノづくり支援ツール「環境あんどん」を商品化した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.