オムロン、インテル Atom搭載の次世代マシンオートメーションコントローラ発表:先進技術とノウハウを融合した“新”Sysmac
オムロンは、ベースアーキテクチャを一新した次世代コントローラ製品「マシンオートメーションコントローラ Sysmac NJシリーズ」、およびソフトウェア製品「マシンオートメーションソフトウェア Sysmac Studio」を発表した。
オムロンは2011年7月11日、あらゆる制御機器を1つにつなぎ、1つのソフトウェアで全体を統合的に制御するコンセプト“One Machine Control”の下、ベースアーキテクチャを一新した次世代コントローラ製品「マシンオートメーションコントローラ Sysmac NJシリーズ」(オープン価格)、およびソフトウェア製品「マシンオートメーションソフトウェア Sysmac Studio」(1ライセンス:29万8500円〜)を発表。同年7月29日より販売を開始する。
従来のFA用コントローラ製品は、主にASICが採用され、そこにメーカー各社が独自開発した機能・性能が作り込まれてきたため、顧客要求への対応や仕様変更に時間がかかるなどの制限があった。また、コントローラのプログラミングも“ラダー言語”をベースに各社独自仕様で発展した言語が用いられてきたため、エンジニアは複数の言語仕様を把握・習得する必要があり、これがエンジニア教育(特に新人教育)の障壁になってきた。
こうした課題を背景に、制御機器・FAシステム事業を手掛ける同社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニーは、既存アーキテクチャの限界と、人が理解しやすい(教育機関で習得した)データ/プログラミングをサポートし、制御環境をシンプルにしていくことの重要性を説き、今回、「従来のPLCの延長という位置付けではない。グローバルでオープンスタンダードな次世代のコントローラ製品」(同社)を手掛けた。
第1弾製品であるNJシリーズは、MPUに「インテル Atom プロセッサー(1.6GHz:型番については非公表)」を採用。同社従来製品「CJ2H」と比較して約4倍の高速化を実現し、生産能力向上に貢献できるとしている。また、NJシリーズでは位置制御機能をCPUに内蔵しているため、従来のCPUと位置制御ユニットとの通信時間のロスがなくなり、かつ煩雑な通信設定などが軽減されるという。さらに、PLCopenに適合したモーションファンクションブロックにより、高度なモーション制御(複雑なカム動作や多軸協調動作など)が可能。加えて、世界標準の工業通信規格である情報通信用オープンネットワーク「EtherNet/IP」、およびマシン制御用オープンネットワーク「EtherCAT」を採用し、マシン内の制御ネットワークと、マシンと工場間をシームレスに接続することができるという。
一方、Sysmac Studioは、マイクロソフトの「Windows Presentation Foundation(以下、WPF)」をベースに開発された専用ソフトウェア環境で、従来独立していた、装置設計に必要なI/O制御と位置制御のためのプログラミング機能、モーション動作設計機能、ネットワークの設定機能などが1つに統合されている。また、データトレースや3Dシミュレーションなど、統合テスト環境としての機能も備えている。そのため、実際にマシンがない状態でもモーションの同期タイミングの確認や動作軌跡の確認などが可能だという。さらに、コントローラのソフトウェア構造をPLCプログラミングの国際標準規格「IEC61131-3」に対応。マルチタスク処理などのオブジェクトプログラミングに必要な機能が搭載されている他、変数に完全対応したことで、ハードウェアアドレス中心のプログラミングと比べて、ソフトウェアの再利用性が高まり、設計効率の向上に貢献できるという。
なお、同社が今年度よりスタートした長期構想「Value Generation 2020(VG2020)」を受け、同社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニーは、「制御No.1」「品ぞろえNo.1」「未来No.1」の目標を掲げ、今回の新製品を皮切りに、インテル、マイクロソフトとの協業による先進技術を取り込んだ製品開発と、顧客の現場サポートをグローバルに展開する構えだ。
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