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BMWが採用するシーメンスの「SIMATIC」、目指すのは「インダストリー4.0」の実現SCF2013

シーメンス・ジャパンは「システム コントロール フェア2013」で、19年ぶりのリニューアルとなった新たなPLC「SIMATIC S7-1500 ファミリー」を紹介。合わせて新製品に関連して描く将来のモノづくりの姿について説明した。

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シーメンス

 シーメンス・ジャパンは、「システム コントロール フェア(SCF) 2013」(2013年11月6日〜8日、東京ビッグサイト)で、19年ぶりの新製品となる「SIMATIC S7-1500 ファミリー」を中心に紹介。全面的に設計を見直した新製品の機能を説明するとともに、シーメンス全体で目指すモノづくりのビジョンを示した。



19年ぶりのリニューアル

横谷氏
シーメンス・ジャパン 横谷氏

 新製品SIMATIC S7-1500 ファミリーは、中/大規模の制御向けコントローラーとして、19年ぶりに基本設計を刷新したもの。PLC、オペレータパネル、PC制御、リモートI/Oで構成され、1つの統合ソフトウェアで全製品のプログラム開発が行える。また安全システムを実現する安全コントローラーも用意されている。

 今回19年ぶりにリニューアルした理由の1つが産業用イーサネットだという。「PLCはそれほど大きく変わる製品ではないが、産業用イーサネットの環境が定着してきたことからこれらに対応する機能を盛り込むため、刷新に至った」とシーメンス・ジャパン インダストリーセクター 産業オートメーション&ドライブテクノロジー事業本部 オートメーションシステム部 プロダクトマネージメントグループ グループマネージャー 横谷浩行氏は話す。

PLC1つ1つを防御ポイントに

 ネットワーク対応を強化する一方で、重要視したのが「セキュリティ」だ。新製品には制御セキュリティ機能を搭載したことが、大きな特徴だ。

 産業制御システムのセキュリティは、イランの核燃料施設を狙ったStuxnet(スタックスネット)で一気に注目を集めた。マルウェアへの対策はもちろんだが、標的型攻撃などへの対策としては、ファイアウォールのように“1カ所で防ぐ”という考えではなく、あらゆるポイントに対策を施す“多層防御”の考え方が必要だとされている。

 これらに対応するため、インターネット環境と分離するファイアウォールやVPN機能、アクセス権限を4段階まで設定できるアクセスプロテクト機能、成り済ましによる不正なアクセスを防ぐ機構、データを部分的にパスワードで保護するノウハウプロテクト、コピーした制御プログラムを他のコントローラーでは実行させない機能などを搭載した。また脆弱性が発見された場合には、設備に組み込まれた状態でもネットワーク経由でOSのバージョンアップが行える仕組みを搭載した。

 その他、CPUに液晶表示パネルを搭載し、問題などをテキスト表示し、発生箇所を把握しやすくした他、筐体の大きさも必要以上の小型化を行わずに、配線などが行いやすい形状にしている。

SIMATIC S7-1500 ファミリー
SIMATIC S7-1500 ファミリー

BMWに全面的に採用

 同社では、完全統合オートメーション「TIA(Totally Integrated Automation)」を推進しており、その開発環境として「TIAポータル」を提供している。SIMATICおよびこのTIAポータルが評価を受け、独BMWと長期間におけるパートナーシップを締結。TIAポータルおよびSIMATICの全面的な採用が決まっているという。

 同社が目指しているのが、製品開発系のシステムと生産系のシステムの完全な統合とそれによるリードタイムの大幅な削減だ。ドイツではこのコンセプトを「インダストリー4.0」と呼んでいるという。「製品ライフサイクル管理と生産オートメーションをシームレスに統合していくことで、生産性を限界を超えて高めることができ、大幅なリードタイム削減を実現できる」(横谷氏)。

 同社の強みは、これらのモノづくりに関連する全ての要素を自社内に抱える(またはM&Aにより加えている)ことだ。横谷氏は「SIMATICもそういうビジョンの一翼を担う製品だ」と話している(関連記事:シーメンスが描くモノづくりの青写真は、現実と仮想、ソフトとハードをシームレスに結ぶ世界)。

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