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QCサークルを超えた小集団活動の効果的な進め方(2)実践! IE:現場視点の品質管理(17)(3/3 ページ)

企業活動に多くの効果をもたらすとされる「小集団活動」ですが、今回は小集団活動の進め方と実施上の要点など、より具体的な小集団活動の進め方を中心に解説します。

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小集団活動の実施上の要点

 第一線で働いている従業員でグループを編成し、小集団活動を行う場合、この活動が自主的な活動であり、しかも、職制とは異なる新しい組織体制であるなどのことから、活動を行う上でさまざまな障害となる問題が出てくるものです。

 これらの問題には、グループそのものの問題、既存の組織に関連する問題など、それぞれの職場の事情によりさまざまな形となって表れてきますが、これらの問題を解決する要点について、以下に順を追って説明しておきますので活動の参考としてください。特に、小集団活動のグループリーダーとなる人は、この項を十分に理解していただきたいと思っています。

(1)グループ編成を効果的に行う

 (a)チームワークのよいグループの編成には、同じ仕事をしていて、共通の目標や問題意識を持っている仲間同士でグループを編成するようにしてください。“グループ”は「共通点を持つ人や物の集まり」という意味なので、共通点を持つ人同士が集まった方が活動に効果的なグループを作ることができます。

 (b)グループは、あまり多人数で編成すべきではありません。逆にあまり少人数だとグループ活動の盛り上がりがなくなるので5〜10人くらいが適当とされています。

 (c)小集団活動の推進方法は企業や職場の規模、特徴などによって異なってきますが、達成感や能力向上を実感できることによって自信を深め、小集団活動の自主性が育つような進め方をしなければならなりません。

(2)グループ活動の推進にとって、効果的な目標を設定する

 (a)目標は、そのグループにとって最も重要な項目を取り上げ、そして、その実績(進捗状況)の把握がなるべく容易なものを選ぶことが大切です。

 (b)目標の設定は、グループの全員で十分に時間をかけて話し合って、自主的に決めることと、グループの全員が納得できる適切なものでなくてはなりません。このことが、後の小集団活動を行う際のメンバーの士気(意気込み)に大いに影響します。

 (c)目標設定は、自主的に決定すべきではあるが、その設定が難しい場合や、行き詰まったときは、速やかに上司の助言を得ることも必要です。

 (d)目標とする改善テーマが多いと活動が発散してしまい、良い成果が得られなくなる場合も多いですので、目標項目は2項目程度が適当です。

 (e)目標値は、定量的な指標が必要です。また、グループ内の業務責任となる項目と、そうではないものと明確に区別しておくことも重要なことです。

(3)活動成果の収集と伝達を確実に行うこと

 グループの活動成果は、リーダーが、できれば毎日、あるいは週毎に管理図などに記入してグループのメンバーが見られる場所に掲示し、活動成果の進捗状況をグループ員に知らせていくことが大切です。また、上司には、毎月、定期的に報告し、指導を仰ぐことも忘れてはなりません。

(4)グループの会合は効果的に運営する

 (a)目標に向かって効果的に推進するには、グループ会合は月2回くらいの頻度で行い、グループ全員の話し合いの場を作ることが大切です。

 (b)会合は、リーダーが中心になって行い、「目標達成にはどうしたらよいか」「目標が達成できないのはなぜか」などについて全員で話し合いながら、適切な是正処理を決め、実施していくことが必要です。

 (c)リーダーは、グループ員が気軽に意見を述べられるような雰囲気を作らなくてはなりません。そのためには、会合で話し合う議題などを事前にグループ員に示しておくことも必要です。

 (d)会合は、事前準備をよくして要領よく行う必要があります。また、必要に応じて記録を取り、上司に提出して意見を求めるというのも上手な進め方です。

(5)その他、小集団活動の推進上の注意事項

 (a)目標を達成したならば、グループ活動の効果を金額での評価を行うことも大切です。表彰制度がある場合は、この効果を申告すれば活動の励みになります。

 (b)グループ内の個人攻撃は避け、あくまでもグループの責任として推進していくようにリーダーは導いていくことが必要です。

 (c)グループリーダー自身が、例えばQC手法について勉強し、グループ員に教育することも大切なことです。

 (d)「小集団活動成果発表会」など、機会あるごとに傍聴したり、または自己のグループの成果を発表したりすることも、とても重要なことです。


◇     ◇     ◇     ◇


 前回と今回で「小集団活動の効果的な進め方」について要点のみですが、2回にわたって説明をしました。小集団活動の過去の歴史には、グループ員の納得を得ないままに成果を求め過ぎたり、「小集団活動成果発表会」での体裁を気にし過ぎるあまりに運営が難しくなるケースがよくありました。実際の活動とはほど遠い活動報告をするなどの粉飾や、改善提案件数の過度な競争、仲良しグループ化などにより小集団活動の本来の目的から徐々にそれていき、次第に活動が下火になっていきました。

 これらの多くの原因は、小集団に所属するグループ員がもたらしたものではなく、むしろ管理者の姿勢から発生してくる場合が多く、管理者としてはこれらの点について深く反省しなければなりません。

 しかしながら、ここ数年は、小集団活動の効果を再評価して過去の活動の反省を踏まえた内容で再編して、多くの企業が新たに活動をスタートさせています。小集団活動は、次のような機能を持ち、それを企業活動に活用することで、業績への寄与(企業の体質改善や発展)、職場の活性化(働きがいのある職場づくり)、従業員それぞれの能力や資質の向上(無限の可能性を引き出す)、モラールの向上などに大きな効果を期待することができます。

  • 集団による発想の相乗効果
  • 参画意識による仕事に対するモチベーションや責任感の醸成
  • 職場内のコミュニケーションの円滑化
  • 連帯感の醸成
  • 相互の刺激効果

⇒前回(第16回)はこちら
⇒次回(第18回)はこちら
⇒連載「実践! IE:現場視点の品質管理」バックナンバー
⇒製造マネジメントフォーラム過去連載一覧


筆者紹介

福田氏

MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)

日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、および日本IE協会、神奈川県産業技術交流協会、県内外の企業において管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。




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