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テレビとスマホで黒字化したソニー、反撃ののろしは上がったのか製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

ソニーが発表した2014年3月期第1四半期決算では、スマートフォン事業とテレビ事業が大幅に損益改善した他、為替の好影響を受け、最終損益の黒字化を達成した。

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PS4は早期に収益貢献

 一方、家庭用ゲーム機の新バージョン「PS4」の発売を年末に控えるゲーム事業については、通期業績見通しでは当初損益ゼロを目指していたが、赤字に下方修正したもようだ。第1四半期は据え置き型ハードウェア110万台、携帯型ハードウェア60万台、ソフトウェア640万本を販売。通期販売目標は変更していないが、ゲーム事業においては円安が逆効果となった。

 「ゲーム事業はハードウェアをほとんど海外で生産しており、ドルベースでの取引となっている。円が安くなったことでコストが上がり、損益は悪化した」(加藤氏)。

 またゲーム事業は、新型ハードウェアをリリースするたびに、開発費用やマーケティング費用で大きな赤字を計上し、それを徐々に解消していくというサイクルだが加藤氏は「PS4は従来ほど重たい投資にはならない」と強調する。

 現行機の「PS3」では、半導体などを最初から開発したため、開発投資は莫大なものとなり大きな赤字を生んだが「PS4」については、チップセットは既存の技術を基にしたもので、製造もファブレスで行うため「投資規模も軽く、プラットフォーム全体としては早期に利益貢献する」と加藤氏は話している。

復活への期待の一方で……

 このまま順調に業績が回復する期待感が高まる一方で、不透明感が残るのも事実だ。第1四半期の決算としては、好結果だったものの、通期業績予想では売上高を上方修正しただけ。「中国や中南米など新興国市場の景気において減速傾向がある。中国については前年に比べると成長はしているが、期待ほどは伸びていない状況がある。また中南米ではブラジルの経済が減速していることが懸念材料。また中東では政情面でリスクが高い。そのためこれらの状況を見極める必要がある」(加藤氏)。

 また主要製品の販売目標台数を軒並み下方修正しているのも懸念材料だ。液晶テレビの他、デジタルカメラも1350万台から1250万台に下方修正した。さらに市場全体が減少傾向にあるPCが750万台から620万台に、ビデオカメラが300万台から250万台に下げている。高付加価値化を推進しているとはいえ、期待された製品力が発揮できず望んだ価格で売れない状況が発生すると、一気に収益性が悪化する可能性がある(関連記事:ソニー、復活へ道半ば――鍵を握る“感性価値”商品)。

 新規事業として期待されている医療分野についても本格的な貢献はまだ先だ。オリンパスとの合弁会社ソニー・オリンパスメディカルソリューションズを設立し、2020年に2000億円の売上高を目指すとしているが「中長期で成長させていく」(加藤氏)。

 そもそも今回の黒字化についても構造改革の成果が大きい。また2013年3月期末までに棚卸資産を大幅に圧縮した効果などもある。各事業の本格復活への道のりはまだまだ予断を許さない状況が続いている。

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