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燃料電池車の共同開発が加速、ホンダとGMが環境技術で提携へ残るはフォルクスワーゲン

ホンダとGeneral Motors(GM)が環境技術で提携することが明らかになった。燃料電池車(FCV)をはじめとする環境対応車両の開発で協力する見通し。

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ホンダの「FCXクラリティ」とGMの「Chevrolet Equinox Fuel Cell」

 ホンダとGeneral Motors(GM)が環境技術で提携することが明らかになった。大手新聞社や通信社の報道によると、燃料電池車(FCV)をはじめとする環境対応車両の開発で協力する見通し。両社は、米国ニューヨーク市内で、2013年7月2日9時(日本時間で同日22時)に会見し、概要を発表する。

 両社はこれまで、FCVをそれぞれ独自に開発してきた。ホンダの最新のFCVは、2007年11月に発表した「FCXクラリティ」である。それまで開発されていたFCVは、SUVのような車高の高い大型車両がほとんどだったが、高出力密度の燃料電池スタック「V Flow FC」の開発により、車高の低いセダンタイプの外観に仕上げたことが特徴だ。最近では、FCXクラリティに最大出力9kWの外部給電機能を装備したモデルを開発し、スマートコミュニティの実証実験などで使用している(関連記事:家庭に電力を6日間供給できるホンダの車、太陽電池で水素を生成)。

ホンダの「FCXクラリティ」(左)とGMの「Chevrolet Equinox Fuel Cell」(クリックで拡大)

 一方のGMは、1960年代からFCVを開発してきた。2007年9月に発表した、同社の第4世代FCVとなる「Chevrolet Equinox Fuel Cell」が最新モデルとなる(関連記事:GM、2モードハイブリッド車と燃料電池車を日本初公開)。SUVタイプの車両で、既に100台以上製造されているという。


コスト削減を主眼とした提携が相次ぐ

 “究極のエコカー”という位置付けだったFCVは、市場導入時期がかなり先になるという見通しもあってか、各自動車メーカーが自社の将来技術として独自に開発するのが一般的だった。しかし2011年1月に、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、水素インフラ関連企業などの13社が、2015年内にFCVの国内市場導入と、水素供給インフラ整備に向けた共同声明を発表して以降、状況は大きく変化している。

 FCVを市場導入する上で最大の課題は、現時点で1台当たり1億円ともいわれる価格の低減である。2015年という目標時期に向けて、「一般消費者が購入可能な価格」を1社単独で実現するのは難しい。そこで、FCVの量産コスト削減を主眼とした提携が相次ぐことになった。2012年6月、トヨタ自動車とBMWは燃料電池システムの共同開発を含めた協業に関する覚書を締結。2013年1月には、日産自動車とDaimler(ダイムラー)、Ford Motor(フォード)の3社が、燃料電池車開発のための協業を発表している。

 ホンダはこれまで、FCVの開発で独自路線を貫いてきた。GMも、スズキと共同で小型SUV「SX4」ベースのFCV「SX4-FCV」を開発したことはあるものの、2008年11月に提携を解消。現在は独自路線に回帰している。

 トヨタ自動車とBMW、ルノー・日産アライアンスとダイムラー、フォードが、それぞれFCV開発で提携したことにより、残ったホンダ、GM、そしてVolkswagen(フォルクスワーゲン)グループの3社の中で、何らかの提携が発表されるのではないかとみられていた。ハイブリッド車や電気自動車の開発でも独自路線を貫くホンダは、FCVでも共同開発はしない方針と考える向きも多く、GMとフォルクスワーゲングループの提携が本命視されていた。今回のホンダとGMの提携により、今後はフォルクスワーゲングループの去就に注目が集まりそうだ。

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