トヨタと提携拡大するBMW、FRハイブリッド技術と水素エンジン車はどうなる?:THS搭載「MINI」はイケるかも(1/2 ページ)
トヨタ自動車とBMWが技術提携を拡大するとの報道が相次いでいる。この提携拡大が実現した場合、両社がこれまで開発してきた技術にどのような影響が出るのだろうか。
トヨタ自動車とBMWが技術提携を拡大するとの報道が相次いでいる。ドイツの週刊誌「Der Spiegel(シュピーゲル)」の報道を皮切りに、通信社や国内新聞各社が、トヨタ自動車がBMWにハイブリッド車技術と燃料電池車技術を、BMWがトヨタ自動車に炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの車体軽量化技術を供与すると報じている。両社は2011年12月、BMWがトヨタ自動車に2014年からクリーンディーゼルエンジンを供給するとともに、次世代リチウムイオン電池の共同研究を開始することを発表していた(関連記事)。
今回の提携拡大に関する報道が正しいとすれば、両社がそれぞれ提供を受ける技術は、開発に割り当てるためのリソースを削減したり、開発そのものを中止したりする可能性が高い。そこで、両社が開発してきた、ハイブリッド車技術、燃料電池車技術、車体軽量化技術について確認してみよう。
BMWは、現行の量産車に対して2種類のハイブリッド技術を展開している。1つは、「BMW ActiveHybrid 7」向けの、モーターを1個使用するマイルドハイブリッド技術である。もう1つは、「BMW ActiveHybrid 5」と「BMW ActiveHybrid X6」に採用している、2個のモーターを用いる「2モードハイブリッド」だ。2モードハイブリッドは、BMW、General Motors、Daimlerの3社が共同で開発したFR車向けのハイブリッド技術で、量産車への展開はBMWがけん引している。
一方、トヨタ自動車は、「プリウス」や「アクア」に代表されるFF車向けのハイブリッド技術と、「レクサスGS」や「レクサスLS」、「クラウン ハイブリッド」などFR車向けのハイブリッド技術を有している。BMWは、FF車向けのハイブリッド技術を持っていないことから、FF車が中心の「MINI」ブランド向けにトヨタ自動車のハイブリッド技術を採用する可能性がある。
両社ともに保有しているFR車向けのハイブリッド技術については、基本的に提携対象外になるだろう。しかし、もしBMWがトヨタ自動車のFR車向けハイブリッド技術を採用して、2モードハイブリッドの開発を終息させるのであれば、自動車業界全体に与える影響は極めて大きい。
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