日米ロボット、原子炉格納容器に通じる配管付近で高線量を計測:災害対策ロボット
東京電力は、原子炉格納容器の調査・補修工法の検討を目的に、福島第一原子力発電所 1号機 原子炉建屋内1階のパーソナルエアロック室の調査を実施。三菱電機特機システムの「FRIGO-MA」と米iRobotの「PackBot」を投入した。
東京電力は2013年4月9日、原子炉格納容器の調査・補修工法の検討を目的に、福島第一原子力発電所 1号機 原子炉建屋内1階のパーソナルエアロック室の調査を実施。2種類の遠隔操作ロボットを投入し、雰囲気線量率、格納容器貫通部周辺の状況確認を行った。
今回投入されたロボットは、三菱電機特機システムの「FRIGO-MA(フライゴー・エムエー)」と米iRobotの軍事用ロボット「PackBot(パックボット)」(関連記事1)である。操作・作業人員として、調査現場に東京電力社員4人、免震重要棟に東京電力社員4人と協力会社社員3人を配置し、線量率測定、目視確認(格納容器貫通部、床および天井の状況)、温湿度測定などの調査を実施した。
FRIGO-MAは、2012年11月7日に福島第一原子力発電所へ導入された。サイズは650×490×750mm、重さは38kg。パン・チルト・ズーム機能を備えたカメラによる映像の録画/録音、温度・湿度計測、線量計測、階段昇降機能などを備える。有線ケーブルによる操作が基本だが、ケーブル断線時に備え、無線による救援機能も搭載している。ちなみに、FRIGO-MAは、2012年11月27日に実施された、福島第一原子力発電所 3号機 原子炉格納容器ガス管理システムダクトの調査において、PackBotとともに初めて現場導入される予定だったが、不具合により使用されなかったという過去がある。その際、代わり導入されたのが、同調査の救援機としてスタンバイしていた千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の「Quince2」(関連記事2、関連記事3)だ。
このたびの調査では、4月9日の11時29分に遠隔操作によるロボット調査を開始し、線量率測定、目視確認、温湿度測定を実施。同日14時21分に調査を終了し、格納容器に通じる配管付近の床付近で毎時2100mSvという高い放射線量を計測した。パーソナルエアロック室内の温度は14度、湿度は50%。ロボットの最大被ばく線量は、FRIGO-MAが57mSv、PackBotが210mSv。7.0mSvを計画していた作業者の最大被ばく線量は、0.72mSvと大きく下回った。ロボットの被ばく量の違いは、恐らく、有線操作のFRIGO-MAを中継機とし、無線操作でPackBotを操作し、線量の高い配管付近を調査したからではないかと考えられる。
なお、2013年3月28日に公表された計画によると、4月16日(予備:同月17日)には、福島第一原子力発電所 2号機 原子炉建屋内のMSトンネル室の調査に、Quince2とPackBotが導入される予定だ。
ロボット開発の最前線
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