「これがニッポンの災害対応ロボットだ」――日立、東芝、三菱重などが研究成果を一斉公開:研究開発/ロボット技術
災害対応ロボット技術の開発に取り組んできた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」が2012年度で完了する。これを受け、参画企業・教育機関が開発した9分野のロボット技術を一斉公開した。
東京電力・福島第一原子力発電所の事故以降、人になり代わり、現場状況の把握や復旧活動を行う災害対応ロボットの活躍が期待されている。
これまで、原子炉建屋内の過酷な状況下において、幾つかの国産ロボットが試験的に投入されてきたが、汎用性・機動性・耐久性などの課題があることが判明。国産ロボットの早急な技術水準の向上、災害対応技術の強化が求められてきた(関連記事1、関連記事2、関連記事3)。
これを受けて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2011年度から「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」に着手し、人間が入り込めないような過酷な災害現場で災害状況の把握や機材の運搬、復旧活動を行うためのロボット技術の開発に取り組んできた。
2013年2月20日、本プロジェクトに参画した移動ロボット研究所、日立製作所、東芝、三菱重工業、千葉工業大学、CYBERDYNEは、2012年度でプロジェクトが完了することを受け、これまで研究開発したロボット関連技術の成果を千葉工業大学 芝園キャンパス内の共同研究施設で公開した。
研究対象項目は、「作業移動機構」「計測・作業要素技術」「災害対策用作業アシストロボット」の3つである。
作業移動機構については、移動ロボット研究所が「小型高踏破性遠隔移動装置」を、日立製作所が「通信技術」を、東芝が「遠隔操作ヒューマンインタフェース」および「重量物ハンドリング遠隔操作荷揚台車」を、三菱重工業が「狭隘(あい)部遠隔重量物荷揚/作業台車の開発」を開発。計測・作業要素技術については、日立製作所が「ガンマカメラ」を、千葉工業大学が「汚染状況災害対策用作業マッピング技術」を、東芝が「水陸両用移動装置」を開発した。そして、アシストロボットについては、CYBERDYNEが「災害対策用作業アシストロボット」を開発した(詳細記事はこちら)。
実用イメージ。小型高踏破性遠隔移動装置、狭隘部遠隔重量物荷揚/作業台車、重量物ハンドリング遠隔操作荷揚台車、災害対策用作業アシストロボットといった各技術が、共通の通信技術、ヒューマンインタフェースなどにより連携し、先行調査、機材の搬入・設置、工事、有人作業を行う
本プロジェクト終了後は、参画企業や教育機関などが災害現場での実用性を高めるための課題に取り組む予定だとしている。また、NEDOは、本プロジェクトの成果が災害現場に実際に投入され、課題の解決に生かされるよう、経済産業省をはじめとする関係機関、企業などと協力していく方針だという。
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