福島原発での活躍に期待、先行探査型ロボット「Sakura」と「災害対策用ロボットスーツHAL」:災害対応ロボット開発の最新成果を披露
千葉工業大学および移動ロボット研究所からなるグループと、CYBERDYNEは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施している「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」において、それぞれコンセプトの異なる災害対応ロボットを新たに開発した。
千葉工業大学および移動ロボット研究所からなるグループと、CYBERDYNEは、それぞれ異なるコンセプトの最新災害対応ロボットを開発。2012年10月17〜19日の3日間、東京ビッグサイトで開催される「Japan Robot Week 2012」にて、両ロボットを一般公開する。
両ロボットは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施している「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」の一環で開発された災害対応ロボットである。
千葉工業大学と移動ロボット研究所のグループが開発したのは、東京電力・福島第一原子力発電所の原子炉建屋内の調査で投入された先行探査型移動ロボット「Quince(クインス)」「Rosemary(ローズマリー)」の後継機である。これまで開発された歴代のロボットには、アルファベット順で“花の名前”が付けられており、今回、新規開発されたロボットには、日本の象徴である「Sakura(櫻)」が採用された。
Sakuraは、従来よりも小型化した筐体に、ミッションで必要とされる各種センサーを搭載。小型化した通信ケーブル自動巻き取り装置(300m)やプラグイン充電方式の採用により、オペレーターの被ばく量の低減を可能にしているという。さらに、3年間のメンテナンスフリーを目指し、厳選された素材を採用。運用面での被ばく量の低減も考慮されている。
Sakuraのミッションは、原子炉建屋内の地下部分の格納容器、圧力抑制室、その間をつなぐ配管などにおける損傷の有無と冷却水漏えい箇所の特定、そして、原子炉建屋壁面・床面の汚染水漏えい箇所の特定。さらに、施設全体の保全状態、詳細な写真撮影、放射線量、温度、湿度の測定など多岐にわたる。建屋内の地下部分は、地上階よりも階段の傾斜角が高く、踊り場の幅が狭いなどの厳しい条件下にある。そのため、Sakuraには、高い運動性能と高線量に対する機能が備わっている。
一方、CYBERDYNEは、同社が手掛けるロボットスーツHALをベースに、「災害対応用ロボットスーツHAL」を開発。人が装着するタイプの有人作業向けのロボットスーツであり、ガンマ線被ばく線量を5割程度低減できる放射線遮蔽装備(防護服)、クーリングシステム(冷気を防護服内に直接送風する装置)による熱中症対策、生体モニタリングによる安全管理機能(センサーを用いたバイタル情報のリアルタイムモニタリング機能)などを備える。
これらの機能を搭載したことにより、福島第一原子力発電所のような、有害物質に汚染された、高温多湿な環境下においても、作業員の安全や健康を確保しながら、復旧作業を支援できるという。
今回発表された両ロボットは、今後、モックアップ施設などでの実証試験により性能を評価し、実際の被災現場への適用に向けた研究開発を継続していくという。
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