横弾性係数を知らないのにCAE?:甚さんの「技術者は材料選択から勝負に出ろ!」(2)(3/3 ページ)
縦弾性係数と横弾性係数の使い分けを明確に! キーボードをたたいているだけのCAE技術者「キー坊」ではダメ。
それでは、前回の衝撃的なランキング表で第1位を獲得した「ステンレス材」に注目してみましょう。もちろん、ここでは切削用材料としての「ステンレス」です。
ステンレスは、「人類初、急激に使用された材料である」といわれています。その一方で、「ステンレスが原因のトラブルが急増しています」と当事務所では情報を発信しています。
トラブルとはなんでしょうか? この連載の中で後々解説します。ご期待ください。
図6のランキングを「へぇー」と眺めているだけのヤツは、いつまでたっても「職人」にはなれねぇってもんよ。オメェみてぇな、「図面読めねぇ描けねぇのCAEキー坊」になっちまうぜぃ!
「CAEキー坊」は止めてください! ランキング上位を徹底的にマークするんですよね。一方、聞きなれない「クロムモリブデン鋼」をネット検索します。
今度もよぉ、図7の材料特性表を「さぁー」と眺めているだけの奴は、いつまでたっても「職人」にはなれねぇってもんよ。オメェみてえな、「図面読めねぇ描けねぇのCAEキー坊」になっちまうぜぃ!
甚さん、奥さんに言いつけますよ! お酒のこと、タバコのこと……。図中の特性値における大きな違い、特徴/用途における身近な適用例、コスト係数の違いなどをマークします。
イッツ、パーフェクトゥ!(It’s Perfect!)
甚さん! 実は、縦弾性係数も横弾性係数もポアソン比も知らない「CAEキー坊」がたくさんいますよ。「CAEキー子」も急増中です。
オメェも「キー坊」って言っているじゃねぇかい! まぁ、いい。それでどうした? あん?
僕は、一人一人の「キー坊」に、「目利き力」を親切に教えています。これが、僕の「頑張れ! 日本」です。やっと、それを見つけました!
イッツ、ワンダホー!(It’s Wonderful!)
どうやら、やっと良君も身近なところで、「頑張れ! 日本」、その実践方法を見つけたようです。「頑張れ! 日本」……その前に、「頑張れ! 日本の若き技術者たち」。(次回に続く)
Profile
國井 良昌(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会 幹事、埼玉県技術士会 幹事。日本設計工学会 会員。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。
1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。Webでは「システム工学設計法講座」を公開。著書に「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 硬さを表すヤング率は“材料のバネ定数”
バネにも、軟らかいバネと硬いバネがあるように、材料にも、軟らかい材料と硬い材料がある。その程度を表すのがヤング率だ。 - 部品の健全性を決定付ける3つの定数
ヤング率とポアソン比は応力を予測するために、降伏応力は予測した応力で部品が壊れるか壊れないか判定するために必要なものだ。 - 「プラスチック」と「樹脂」って何が違うの? それに「エンプラ」って何よ?
ママさん設計者と一緒に、設計実務でよく用いられる機械材料の基本と、試作の際に押さえておきたい選定ポイントと注意点を学んでいきましょう。今回は、非金属を語るにあたって外せない、機械材料の「強さの度合い」を表す指標について説明した後、プラスチックのあれこれについて紹介します。 - ヒトと同じで個性それぞれ、材料だって適材適所!
ママさん設計者と一緒に、設計実務でよく用いられる機械材料の基本と、試作の際に押さえておきたい選定ポイントと注意点を学んでいきましょう。今回は「試作とは何か」から話を始めつつ、いろいろな機械材料があることを紹介していきます。 - 新材料開発の期間やコスト削減を支援するソリューション
日立製作所は、素材メーカー向けに新材料開発の期間やコスト削減を支援する「材料開発ソリューション」の提供を開始する。分析システム環境をクラウド形態で提供するサービスや、AIを活用した材料分析代行サービスが含まれる。