設立25周年のASMLジャパン「半導体進化に日本市場は不可欠」 国内体制強化へ:FAニュース(2/2 ページ)
ASMLジャパンは設立25周年を記念する記者説明会を開催した。日本は世界の技術革新を支える重要市場であるとし、AI需要の拡大と半導体の微細化を見据え、2030年度に向け国内人員を700人規模へ増員し、サポート体制を強化する。
AI関連分野の半導体市場は年率20%で成長、8nm解像度の実現へ
半導体の需要動向については、今後の市場成長はAI技術によって進展するという予測を示した。ASMLの分析によれば、2021年から2030年までの10年間において、従来のメモリや計算用途などの非AI分野における年平均成長率は6〜7%程度にとどまる。一方で、AI関連分野の半導体市場は年率20%を超える成長が予測されている。内訳としては、大容量データのやりとりを担うAIメモリ分野が年平均24〜28%、複雑な処理を担うAI計算分野が年平均約22%の成長を見込んでおり、半導体産業全体をけん引していく予想である。
増加する計算需要と消費電力の課題を解決するためには、半導体の微細化と露光装置の進化が不可欠である。露光光源の波長は436nmのG線から徐々に短縮されており、現在、最先端半導体に使われている極端紫外線(EUV)の波長は13.5nmである。ASMLジャパン テクニカルマーケティングディレクターの永原誠司氏は技術の進展について、「露光波長が短くなるほど微細化が進む。現在では最先端のEUVが世界の最先端半導体の製造に使われている」と説明した。
現在量産で使用されているEUV露光装置のNA(開口数)は0.33であり、解像度は13nmである。永原氏によると、これは「文字に置き換えると、切手ほどの大きさにWikipediaの全文と地域の図書館の蔵書を収められる程度」だという。ASMLはさらなる微細化に向け、今後10年でNAを0.55に高めた「High-NA EUV」への移行により、8nmの解像度実現を目指している。
生産性の面でも、0.33NAのシステムにおいて1時間当たり160〜260枚以上、0.55NAのシステムでは段階的に210枚以上のウェーハ処理能力を目標に置いている。2030年代に向けては、ロジック半導体の1.4nm、1.0nm、0.7nmノードへの拡張を見据え、メタルピッチの縮小や新しいレジスト材料に対応するための開発を進める方針である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Arm初のCPUチップ「AGI CPU」が顧客とパートナーにもたらす悲喜こもごも
Armの最新動向について報告する本連載。今回は、2026年3月にArmが発表した、同社が初めてCPUチップそのものを製造/販売する「AGI CPU」を解説するとともに、顧客やパートナーにどのような影響を与えるのかを考察する。
ラピダス半導体工場の現状と今後、パイロットライン立ち上げ開始も「まだ一合目」
Rapidus(ラピダス)は、北海道千歳市で進む半導体工場「IIM(イーム)」建設の現状と今後の計画について説明した。
NVIDIAが生み出す半導体産業の“正の循環”、AIフィジックスが新たな原動力に
AI技術の進化をけん引するNVIDIAが、半導体技術の進化にも大きな影響を与えようとしている。同社のティム・コスタ氏によれば、AIエージェントとフィジカルAIに加えて、これらに次ぐ第3のAIともいえる「AIフィジックス」が重要な役割を果たすという。
半導体市場は過剰在庫から一転し受注が倍に、独自データで読み解く市場の行方
生成AI需要で半導体市場は急伸している。コアスタッフは、市場の最新動向と今後の見通しを読み解く記者説明会を開催した。
日本の半導体産業でチャンスつかむトルンプ、ソフトウェアも重視
トルンプの日本法人は、東京都内で事業説明会を開催。半導体産業を中心とする日本市場の拡大と、ソフトウェアによる生産性向上の取り組みを紹介した。
日本再起の旗印となるか、国産マルチモーダルAI基盤「FRONTia」が始動
経済産業省とNEDOは、AIロボットやフィジカルAIに用いられる国産マルチモーダル基盤モデル「FRONTia(フロンティア)」の開発プロジェクトの本格始動に合わせて、東京都内で「我が国のフィジカルAI政策に関する対外発信イベント」を開催した。


