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射出成形機メーカーが挑む100%植物由来バイオプラの強み:材料技術

射出成形機専業メーカーの日精樹脂工業が、植物由来原料とおがくずを組み合わせた新素材「LignoForm」の販売を開始した。美しい風合いを持つ新素材の魅力と開発背景に迫る。

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 射出成形機専業メーカーである日精樹脂工業は、「第18回 高機能素材 Week −Highly-Functional Material Week−」(会期:2026年9月30日〜10月2日、会場:幕張メッセ)内の「第7回 サステナブル マテリアル展 SUSMA」に出展し、同年9月に販売を開始した100%植物由来のバイオプラスチック「LignoForm(リグノフォーム)」を披露した。

薄肉や複雑な形状の成形にも対応

 近年、脱炭素社会の実現や資源循環の促進に向けた取り組みが世界的に増加する中、プラスチック業界においても環境負荷の低減と持続可能な資源利用への対応が求められている。

 そこで同社はLignoFormを開発した。LignoFormは、とうもろこしやサトウキビなど植物由来原料から製造されるPLA(ポリ乳酸)に、主に長野県産カラマツの加工工程で発生するおがくずを配合した環境対応樹脂だ。

「LignoForm」
「LignoForm」[クリックで拡大]

 森林で育った木を建材などとして利用し、その加工過程で生じる残りかすを新たな製品素材として活用することで、森林資源の有効利用を促進するとともに、資源循環型社会の実現に貢献するという。

 同社の説明員は「当社の本社がある長野県には多くの山がある。こうした山の森林を健全に保つために伐採される『間伐材』の処理が社会課題となっている。この課題を解消するために、当社は間伐材や廃材を有効活用した、100%植物由来のバイオプラスチックを開発しようと考えた。さらに、長野県内の木工所などで木材を加工する工程において大量のおがくずが発生している。このおがくずや間伐材を買い取り、微細な粉末状に加工してPLAと混練し、射出成形用のペレットとして製品化したものがLignoFormだ」と話す。

 ベースとなるPLAは一定の温度や湿度が管理された産業用コンポストなどの適切な環境下において、微生物の働きによって最終的に水とCO2へ分解される生分解性を有している。さらに、おがくずをそのまま配合するのではなく微細木粉に加工して利用することにより高い流動性を実現し、薄肉や厚肉、複雑な形状の射出成形にも対応している。

微細木粉
微細木粉[クリックで拡大]
LignoFormを射出成形して作製された薄肉のコップ
LignoFormを射出成形して作製された薄肉のコップ[クリックで拡大]

 「ここまで細かくおがくずを粉体化して樹脂化しないと、金型の細かな部分に入りづらくなり、流動性が出ない」と担当者は語る。LignoFormでは、用途や希望する風合いに合わせて木粉の含有率を10%、20%、30%の中から選択できるようになっている。「30%を超えて木材成分を多く入れすぎると、樹脂をペレット化する際に崩れてしまい、成形材料として使えない。現状では30%が美しい製品を作り出せる上限となっている」(同社の説明員)。含有する木粉の比率を変えることで、色合いや木の質感が変化するため、求めるデザインに応じた最適なグレードを選ぶことができる。

左から、木粉の含有率が10%、20%、30%
LignoFormを射出成形して作製されたくし。左から、木粉の含有率が10%、20%、30%[クリックで拡大]

 LignoFormを射出成形して作製した食器などの外観は、木質ならではの自然な風合いや独特の手触りを有している。加えて、木の風合いを持つ製品を射出成形によって効率的かつ安定的に量産できる。

LignoFormの物性
LignoFormの物性[クリックで拡大] 出所:日精樹脂工業

 同社はLignoFormの生産開始に当たり、本社(長野県坂城町)の敷地内に生産設備を新設し、月産7トン(t)/年間84tの生産体制を構築した。これにより、年間92tのCO2削減効果が見込めるという。

 同材料の提供にとどまらず、「成形機」「それに適した金型設計の相談/製作」「最適な温度や乾燥状態などを導き出す成形ノウハウの提供」までを、「ワンストップソリューション」として提供できる体制も整えている。

 同社の説明員は「材料だけで販売することも可能だが、当社は成形機メーカーであるため、成形機の選び方や条件出しのサポート、金型の相談まで丸ごと引き受けられる。成形のノウハウがあるからこそ、不良対策にも対応しやすい」と述べた。

 顧客は、LignoFormを購入すれば、同社の技術サポートを受けながら、自社が保有する汎用射出成形機(非日精樹脂製の機械でも対応可能)を用いて、スムーズに環境配慮型製品の生産をスタートさせることができるという。

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