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中国新興自動車メーカーが取り組むAIアーキテクチャ「LBM」は本流となるか和田憲一郎の電動化新時代!(65)(3/3 ページ)

近年、中国の新興自動車メーカーを中心に、従来の枠組みとは異なる新たなAIアーキテクチャが台頭しつつある。それが「LBM」である。今回は、このLBMが中国の新興自動車メーカーに限定された一過性の技術潮流にとどまるのか、あるいは将来的に多くの自動車メーカーへと波及していくのかを考察してみたい。

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欧米と日本の自動車メーカーの動向

 テスラおよび欧州メーカーの動きを確認したい。テスラはE2Eを確立した後も、その高度化を継続しつつ、VLAを導入することで、独自の進化路線を模索しているように見受けられる。この点において、中国勢が採用するLBMへ移行するというより、巨大E2E+VLAによる独自アーキテクチャの深化を目指していると思われる。

 一方、BMW、Mercedes-Benz、Volkswagenなど欧州メーカーは、中国の自動運転スタートアップであるMomentaなどと協業を進めるなど、E2E的アプローチを部分的に量産車へ取り込む段階にある。しかし、これはあくまで中国市場のみであり、グローバルな展開には慎重な姿勢を保っている。そのため、LBMについても、現時点では将来対応を模索している段階と位置付けるのが妥当であろう。

 なお、筆者の推測として、テスラおよび欧州メーカーは、複数の中国メーカーが既にLBMを量産車へ投入し始めている現状に対し、中国市場での競争力維持の観点から、後追いであってもLBM的アーキテクチャへ追随する可能性が高いと考える。一方、グローバル展開という面では、慎重に対応するのではないだろうか。

 日本メーカーに目を向けると、日産自動車およびホンダは2027〜28年頃にE2E搭載車の導入を予定しており、トヨタ自動車も2026年8月27日、2028年からE2E搭載を実用化すると発表した。このように、日本勢は現在E2E対応に集中しており、LBMについてはまだ探索フェーズではないだろうか。

日本の自動車産業への私見

 今回、中国の新興自動車メーカーが推進する自動運転領域におけるLBMの動向を取り上げた。率直に言えば、このAIアーキテクチャが今後の自動運転技術の本流となるかどうかは、現時点で分からない。また全く新しい技術が生まれないとも限らない。

 しかし、Xpengをはじめとする中国勢が、世界でも最も難易度が高いとされる中国都市部の運転環境において、E2E方式の限界を見据え、その先にあるアプローチとしてLBMを開発した点は極めて示唆的である。これは、SDV(ソフトウェアデファインドビークル)から AIDV(AIデファインドビークル)へと進化する潮流の中で、代表的な動きとなるのではないだろうか。

 次に、日本の自動車産業の現状に目を向けると、中国市場における日系大手3社の2026年7月販売実績は、トヨタ自動車が前年同月比24.3%減の11万4700台、日産自動車が同58.7%減の2万3677台、ホンダが同44.1%減の2万5052台と、いずれも大幅な減少が続いている。

 その主な要因として、日系メーカーのガソリン車/HEV(ハイブリッド車)比率の高さが指摘される。しかし、より本質的には、中国新興メーカーが急速に進める車載AIエージェントなどの知能化や自動運転領域での技術革新に対し、日系メーカーが後れを取っていることが影響しているように思われる。

 今回取り上げた自動運転領域におけるLBM化は、その象徴的な事例である。今後も日系メーカーが競争力を維持するためには、ハードウェア性能だけでなく、AIモデルの高度化、そしてLBMのような新しいアーキテクチャ開発に積極的に取り組んでいかなければ、さらなる遅れにつながると思われる。

筆者紹介

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和田憲一郎(わだ けんいちろう)

三菱自動車に入社後、2005年に新世代電気自動車の開発担当者に任命され「i-MiEV」の開発に着手。開発プロジェクトが正式発足と同時に、MiEV商品開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーに就任。2010年から本社にてEV充電インフラビジネスをけん引。2013年3月に同社を退社して、同年4月に車両の電動化に特化したエレクトリフィケーション コンサルティングを設立。2015年6月には、株式会社日本電動化研究所への法人化を果たしている。


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