品質問題の対策はトップの意志と仕組み作りが鍵 設計/量産プロセスに潜む課題:品質不正問題(2/2 ページ)
産業向けメディアのMONOistはライブ配信セミナー「製造品質セミナー 2026 夏 品質不正を防ぐ『組織風土改革』と『品質管理DX』」を開催した。本稿ではロジカル・エンジニアリング 代表の小田淳氏が行った基調講演の内容を紹介する。
ODMにおける品質課題も存在
最近の注意すべき課題として、実施する試験項目や判定基準を示す品質レベルを、ODMを依頼する新規参入メーカーが認識できていないというケースが存在している。小田氏は「これは根深い問題であり、この原因の1つはODM(設計製造委託)にある」と強調する。
現在、インターネットなどで販売されている比較的安価な家電やガジェット、玩具のほとんどは中国のODMメーカーに設計/製造が委託されている。中国のODMメーカーとはコンタクトできるシステムが整っており、新規参入メーカーなどが設計と製造を委託することが多くなっている。
新規参入メーカーは「設計品質」自体を知らない場合が多いことから、試験項目や判定基準をODMメーカーに任せてしまう場合があるのだ。そのため、どのような試験をODMメーカーが実施しているのか分からないといった課題も発生している。このような場合、出来上がった製品は一般的に壊れやすく、最悪の場合は重大な品質問題につながってしまう可能性もある。そのため、ODMメーカーが実施した試験レポートは必ず入手して品質レベルを確認しておくことが重要だ。
試験結果の改ざんについては「経営者の手腕」が問われる
設計プロセスにおいては、昨今試験結果の改ざんが問題になっている。この問題の対処方法としては、製品試験を設計以外の部門(例:品質保証部)に全て任せるなど、設計部門から完全に分離させる仕組みづくりや、試験結果が自動的にサーバ内に保存され、改ざんできないシステムを導入するといった方法がある。
小田氏は、設計者/試験担当者が製品の設計を行う上で重要な点として、「モチベーション」を挙げている。「『良い製品を作りたい』『ユーザーを満足させたい』『競合他社に勝ちたい』といった気持ちを担当者自身で持てるようにすることが重要である」と指摘する。「期日に間に合わせないといけない」「コストをより下げなければいけない」などのプレッシャーが担当者にかかると、作業者の気持ちがデータ改ざんの方向へ動いてしまう。「この問題は“経営者次第”であり、社員にどのようなモチベーションを持たせるのかに尽きる」と小田氏は言う。
量産プロセスにおける課題について
量産プロセスにおける大きな課題となっているのが「作業者の組み立てスキルが低い」「企業の品質レベルが低い」という2点である。
作業者の組み立てスキルが低くなる理由については、日本の労働人口の減少で外国人労働者が製造現場で働くようになったことで、日本語や組立作業に不慣れな作業者が、作業標準書などの品質管理文書で定めた通りの作業を実施できていないことが要因として挙げられる。
一方、企業の品質レベルが低い理由については、品質管理文書やそれを運用する品質システムが未成熟であることが要因にある。ここには、ベテラン従業員に品質に関する判断を任せていたが、その人が退職していなくなったことで、製品の合否判定が難しくなるといった属人化の要素も関わっている。また、海外で製造を行う場合、作業者の自己判断で作業標準書とあえて違う組み立て方をしてしまうというケースも多い。
量産プロセスにおける検査工程についても、品質管理文書や治具の不備が原因で品質不良が発生している。この課題への対処方法として、最新の最も有効な解決手段は、カメラを活用した手法である。作業者(骨格)の動きの認識による作業方法と手順の常時監視、作業現場の装置などの表示の定期監視、(カメラの)インライン検査などが、問題解決に向けた有効な手段の1つとして挙げられる。
また、カメラによる映像は、誰でも見られるように公開しておくことが大切だという。小田氏は「誰かにいつも見られている環境を作ることが有効だ。ルールに反した作業はできなくなる」と自身の考えを述べた。
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