東レがMIでCFRPリサイクル材料設計を効率化、実験数万件を削減:マテリアルズインフォマティクス
東レは、航空機や自動車の軽量化に必要な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のリサイクルを加速させる新たな材料設計技術を発表した。
東レは2026年8月21日、炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics、以下CFRP)のマテリアルリサイクルにおいて、マトリックス樹脂である熱硬化性樹脂のリサイクル性(分解/再利用のしやすさ)と力学特性の両立を可能にする材料を高精度かつ効率的に選定できる材料設計技術を開発したと発表した。
マトリックス樹脂とは、炭素繊維などの強化繊維と組み合わせて複合材料を形成する樹脂成分を指し、硬化/固化することにより複合材料の形状を保つ機能に加え、複合材料の耐熱性、難燃性、リサイクル性などの特性発現に貢献する。
マトリックス樹脂候補選定の予測精度を最大約25%向上
CFRPは軽量かつ優れた力学特性を有することから、航空機や自動車などの構造部材への適用が拡大している。一方で、使用済みCFRPの増加に伴い、CFRPのリサイクル需要の高まりが見込まれている。
しかし、CFRPに用いられる熱硬化性樹脂の再利用に当たっては、ケミカルリサイクルによる原料化や、再成形可能な熱可塑性樹脂化などの技術も必要であり、分解コストが高いという課題がある。また、高い強度や耐久性を実現する材料設計と、リサイクル性を両立することは容易ではなく、これらを両立する材料の開発には長期の開発期間を要する。
そこで東レは、長年蓄積したCFRP設計技術に関するノウハウを基盤に、マテリアルズインフォマティクス(MI)の機械学習を活用した新たな材料設計技術の確立を実現した。
同技術では、リサイクルCFRPの樹脂の分子構造とリサイクル性/力学特性との相関関係をデータとして体系的に整理/学習させることで、従来の特性予測モデルと比較して、リサイクル性と力学特性を両立するマトリックス樹脂候補選定の予測精度を、最大約25%向上する機械学習予測モデルの構築に成功した。
予測精度は、回帰分析において「作成したモデル(予測式)が、実際のデータ(目的変数)のばらつきをどれくらい説明できているか」を示す指標である「決定係数」で評価した。
さらに、このモデルを用いて絞り込んだ組成が、CFRP化した後も樹脂が分解/再利用しやすい特性を維持することを確認した。このモデルを適用することで、CFRP材料設計における初期の段階で効率的に候補材を絞り込めるため、航空機や自動車などの要求特性に合わせた迅速な設計検討を進めることができ、今後実験やシミュレーションによる候補材料の評価件数を数千〜数万規模で削減できることが期待される。
なお、同技術の一部は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議「CSTI」の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 第3期における「サーキュラーエコノミーシステムの構築」により実施されている。
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