前工程を知らずに後工程は理解できない〜半導体製造全体の流れをつかもう〜:いまさら聞けない 半導体後工程(1)(3/3 ページ)
半導体の高性能化において重要性が増す後工程を中心に解説する本連載。第1回は、半導体製造全体の流れを概観し、後工程を理解するために必要な前工程の基礎知識を整理する。
前工程終了後のウエハーの状態とは
前工程が完了した時点で、ウエハーの表面には数百〜数千個もの半導体チップが整然と並んでいます。しかし、この段階ではまだ電子機器に組み込める製品ではありません。1枚のウエハー上に多数のチップが作られているだけであり、それぞれを個別の製品として取り出す必要があります。
ここから始まるのが後工程です。
後工程では、ウエハーを1つ1つのチップへ切り分けるダイシングを皮切りに、基板への実装、電気的接続、樹脂封止、最終検査などを経て、初めて半導体製品として完成します。
つまり、前工程が「回路を作る工程」であるならば、後工程は「製品へ仕上げる工程」といえます。
どれほど優れた回路が形成されていても、ダイシングや実装、封止などで不具合が発生すれば、製品として使用することはできません。反対に、後工程の品質をいくら高めても、前工程で作り込まれた回路に欠陥があれば、それを後から修正することはできません。
前工程と後工程は、それぞれ独立した工程ではなく、品質という1本のバトンを受け渡しながら完成へ向かう、一連のモノづくりプロセスなのです。
近年は最先端ロジック半導体の製造技術に注目が集まりがちですが、日本企業は後工程で使用される製造装置や材料、精密加工技術において世界トップクラスの競争力を持っています。ダイシング装置やボンディング装置、封止材料、検査装置など、日本企業の技術は世界中の半導体工場で活用されており、高品質な半導体の生産を支えています。
前工程だけでなく、後工程にも高度な技術とノウハウが詰まっていることを知ることは、日本のモノづくりの強みを理解する上でも重要です。
まとめ
今回は、半導体製造全体の流れと前工程の概要について紹介しました。
前工程では、シリコンウエハー上にnm単位の微細な電子回路が形成されます。そして、その品質を受け継ぎながら、後工程で半導体製品へと完成させていきます。
次回は、後工程の最初の工程である「ダイシング」を取り上げます。完成したウエハーをどのように1つ1つのチップへ切り分けるのか、その役割や加工方法、品質との関係について詳しく解説していきます。
著者プロフィール
森内眞
アルテム・イノベーション技術士事務所 代表
大学在学中に渡米し、MEMS開発に携わった叔父の下で4年間研究開発を経験。帰国後は、工作機械メーカーで横型マシニングセンタの開発設計や生産技術を担当した。1989年に独立してFA自動化設備のエンジニアリングセットメーカーを設立し、自動化技術や生産システムの知識を生かしてQCDマネジメントも行った。また、中国企業に招聘され、工作機械やコンベヤーチェーンなどの製造企業で自動化や工場改善、技術者教育などを指導した。2016年に技術士事務所を開設し、現在は国内外の製造企業で技術コンサルタントとして活動している。
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