半導体高集積化/微細化で拡大するCMP装置、荏原製作所は先行投資で開発強化:工場ニュース
荏原製作所は、CMP装置など半導体製造装置を開発する精密・電子カンパニーの新開発棟(V8棟)を報道陣に公開した。
荏原製作所は2025年6月2日、藤沢事業所(神奈川県藤沢市)内に完成した精密・電子カンパニーの新開発棟(V8棟)を報道陣に公開した。稼働は2025年8月を予定しており、CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置をはじめとする半導体製造装置の開発を行う。
建築面積4355m2、延べ床面積1万6216m2で棟内には600人強が勤務できる事務所エリアがある他、開発用の2つのクリーンルームを備えている。開発スペースは従来比で1.7倍になる。ウエハーを平たんにするCMP装置の他、ウエハーの外周などを研磨するベベル研磨装置、めっき装置を開発する。
新開発棟では装置のリモート接続が可能になっており、開発装置のデータを収集、分析し、設計に反映できる仕組みになっている。また、オフィスから開発中の装置のデータが確認できる。装置などで死角ができる開発現場でも緊急時に備えて見守りカメラを設置し、安全性の高い開発環境に整備した。
荏原製作所 代表執行役社長 CEO兼COOの細田修吾氏は「藤沢工場は標準ポンプの生産工場として発足したが、半導体関連事業が占める領域が増えてきている。V8棟の完成によって開発機能も藤沢に持つことができたということは、当社の半導体関連事業の位置付けが大きくなってきていることの表れだ」と語る。
同社 精密・電子カンパニープレジデントの南部勇雄氏も「半導体製造工程の中で、CMPは新しいプロセスだ。半導体の微細化、積層化が進むとともにCMPの適用範囲はどんどん広がっており、採用されるプロセス数が増え、開発への要求度合いも高くなっている。われわれは先んじて開発を進めて、新しいアプリケーションを取っていきたい」と意気込む。
2025年6月には、CMP装置を製造する熊本事業所で、延べ床面積約2万m2の新しい生産棟(K3棟)の本格稼働を予定している。これにより、生産能力は1.5倍に拡大する。新しい開発棟と合わせて半導体製造装置の生産力、開発力を強化する。
「半導体は市場の拡大が始まると、他の市場とは次元が違う勢いで伸びてく。そのため先行投資が必要になる。開発と生産の両面からしっかりと半導体市場の拡大をサポートしていける体制が整った」(細田氏)
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