検索
ニュース

三菱ケミカルなど9社、環境省のプラスチック資源循環実証に参画リサイクルニュース

三菱ケミカルらは、環境省の「令和7年度プラスチック資源循環戦略」の一環として、新たなリサイクルモデルの実証事業に参画する。複数の企業が共同で高度な剥離/脱墨技術を活用する「協創型プラットフォーム」の構築を目指す。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 三菱ケミカルは2026年8月5日、環境省の「令和7年度プラスチック資源循環戦略に関する調査・検討業務」の一環として実施される動静脈連携モデル実証に参画すると発表した。

 動静脈連携とは、経済活動を血液の循環に例えた表現である。天然資源を加工して製品の製造/流通を担う産業を「動脈産業」、廃棄物の回収や選別、再利用、再生利用および適正処理による社会への再循環を担う産業を「静脈産業」とし、これらが連携して資源を循環させる取り組みを指す。

「協創型プラットフォームモデル」の成立可能性を検証

 プラスチックの資源循環は、資源枯渇や廃棄物削減、海洋プラスチックごみ対策の観点から世界的にその重要性が高まっている。日本でも、政府が2018年5月に策定したプラスチック資源循環戦略や2020年4月に施行されたプラスチック資源循環法に基づき、回収/再資源化が進む一方、回収量の拡大、高度なリサイクル技術の確立、再生プラスチック(以下、再生材)の品質向上/利用拡大が課題となっている。

 また、再生材の利用拡大には、品質やコスト競争力、安定供給性を同時に確保する仕組みづくりが求められている。こうした課題に対応する目的で、近年、剥離/脱墨などの高度なマテリアルリサイクル技術の開発が進められている。

 一方で、これらの技術の社会実装に向けては、技術に加え、事業者間の連携や運用体制の構築も重要な要素だ。

 このような背景を踏まえ、令和7年度プラスチック資源循環戦略に関する調査・検討業務の一環として、今回の実証を実施する。同実証は、三菱総合研究所を全体統括者とし、プラスチック容器包装(軟包装材)の資源循環に関わる主要事業者9社との連携の下、複数の動脈/静脈事業者が技術や設備を共同活用する「協創型プラットフォーム(PF)モデル」の成立可能性を検証する。

 同実証には、三菱ケミカルの他、アールエム東セロや共栄社化学、ZACROS、大日本印刷、東洋製罐、TOPPAN、朋和産業、細川洋行が参画する。

同実証の実施体制
同実証の実施体制[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカル

実証結果の評価/検証に協力

 今回の実証では、剥離/脱墨技術の社会実装を見据え、複数の動脈/静脈の事業者が設備や技術を共同活用する協創型PFモデルの有効性と成立可能性を検証していく。併せて、PFモデルの下で活用される剥離/脱墨技術について、共通条件下での実証を行い、社会実装に向けた課題を整理する。

 同実証の特徴は、個別技術の性能評価や優劣比較を目的とするものではなく、複数企業が開発する剥離/脱墨技術を対象に、設備/技術の共同利用を前提とした協創型PFモデルの成立可能性や課題を検証する点にある。

 具体的には、個社ごとに設備/技術を活用する場合と、協創型PFモデルの下で設備/技術を共同利用する場合を比較し、再生材の品質、コスト競争力、供給安定性への効果を検証していく。また、回収から再生利用に至るサプライチェーン全体を対象として、関係事業者の役割分担や連携の在り方、設備/技術の共同活用に向けた運用上の課題を整理する。

共通サンプルを用いた剥離/脱墨技術の実証イメージ
共通サンプルを用いた剥離/脱墨技術の実証イメージ[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカル

 加えて、複数企業が開発を進める剥離/脱墨技術について、複数の共通サンプルを用いて各技術による剥離/脱墨処理と評価を実施し、協創型PF化に向けた課題や検討事項を把握する。なお、共通サンプルは、市場規模や実証の意義を踏まえ、参画事業者間の議論を経て、プラスチック軟包装材を対象として設計する。

 三菱ケミカルは、同実証において包装材料に用いられる機能性フィルムの開発/製造で培った知見を生かすプラスチック容器包装/フィルム製造事業者および、剥離/脱墨技術開発事業者として参画している。

 実証に必要なサンプルや知見の提供、実証結果の評価/検証に協力する。また、9社による連携の下、再生材の品質向上や安定供給、コスト競争力に資する協創型PFモデルの検討に参画し、その成立可能性や運営上の課題の整理に取り組む。

 同社は、再生材の利用拡大を阻む構造的課題への対応に加え、回収/再資源化から利用拡大までを見据えた資源循環システムの構築を進めている。中でも、動静脈事業者が連携して設備や技術を共同活用する協創型PFモデルは、再生材の品質向上、コスト競争力、安定供給を実現する、有力な方策の1つと考えている。

 今後は、同実証を通じて得られる知見を活用し、多層包装材の資源循環に向けた技術開発および事業化の検討を進める。また、動静脈事業者との連携を通じて、再生プラスチックの品質向上、安定供給および利用拡大に貢献し、持続可能な資源循環システムの実現を目指す。

⇒その他の「リサイクルニュース」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る