なぜ熊本に半導体産業が集まるのか――地震で工場稼働停止相次ぐ:1週間を凝縮! 今週の製造業ニュース
2026年7月27〜31日に公開された記事の中から、MONOist編集部が厳選した今週のニュースをお届けします。
2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とし、最大震度7を観測した「令和8年熊本地震」が発生しました。
半導体や自動車をはじめとする日本の主要な製造業が集積する九州地方では、今回の地震を受けて多くの工場が影響を受けています。半導体関連では、すでにTSMC傘下のJASM、ルネサス エレクトロニクス、ソニーセミコンダクタソリューションズ、三菱電機などが被害や稼働状況について発表しました。各メーカーの工場稼働停止に加え、道路の寸断などによる交通網の混乱や物流体制の分断も発生しており、サプライチェーン全体への広範な影響が懸念されている状況です。
日本では1980年代後半、半導体産業が世界シェアの50%を占め、九州は国内生産の中心地として「シリコンアイランド」と呼ばれ繁栄しました。その後シェアは低下したものの、2021年に国が策定した「半導体・デジタル産業戦略」による台湾TSMCの熊本誘致を機に、現在は「新生シリコンアイランド」として再び発展を遂げています。
なぜ、古くから熊本に半導体産業が根付いてきたのでしょうか。最大の理由は、「豊富で高品質な水資源」にあります。半導体製造は、工程の3〜4割を占めるウエハー洗浄や、設備冷却などに大量の「超純水」を必要とします。熊本市周辺は阿蘇山系の火山性地層に蓄えられた清涼な地下水が豊富であり、水道水のほぼ100%を地下水で賄える水環境が整っています。
こうした豊かな水資源に恵まれた結果として、熊本には早くからソニーセミコンダクタマニュファクチャリングや東京エレクトロンなどの関連企業が多数集積してきました。そこで確立された産業や人材の厚い基盤が、さらなる企業進出を支える土壌となり、近年も各社による工場新設や大型投資が相次いだ背景があります。
MONOistでは、今回の地震に関する各企業の発表に基づき、工場の被害や稼働状況をまとめた情報を随時更新しています。
令和8年熊本地震により被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げるとともに、皆さまの安全と被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。
令和8年熊本地震による工場への影響まとめ
熊本県内を中心に令和8年熊本地震による工場への影響をまとめた。(2026年7月29日公開、随時更新)続きを読む
Terra Drone、屋内点検用ドローン運用チームを熊本県の被災地へ派遣
Terra Droneは、「令和8年熊本地震」の被災地で捜索や被害状況の把握を支援するため、屋内点検用ドローン「Terra Xross 1」の運用チームを熊本県へ派遣する。(2026年7月29日公開)続きを読む
テラチャージやFLASH、テスラなど 熊本地震によるEV充電器の無償開放拠点
2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震を受け、EV(電気自動車)向け充電サービスを無償開放した企業を熊本県内を中心にまとめている。(2026年7月30日公開)続きを読む
地震、台風、有事の寸断――日本のサプライチェーン危機管理を変えるとき
自然災害や地政学リスクなど、日本企業を取り巻く危機はかつてなく深刻だ。自社のサプライチェーンリスクをAIエージェントで可視化し、有事の初動対応まで自律代替する。不確実な時代を勝ち抜く強靭な経営基盤の姿に迫る。(2026年7月29日公開)続きを読む
⇒その他の「1週間を凝縮! 今週の製造業ニュース」の記事はこちら
※試験運用中です
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ソニーとTSMCが新たな合弁検討、半導体のファブライト化とフィジカルAI見据え
ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMCは、次世代イメージセンサーの開発と製造に関する戦略的提携に向けて、法的拘束力を伴わない基本合意書を締結した。
半導体製造投資、続々――経産省やLSTC企業も動き出し、列島が沸く
2026年4月13〜17日に公開された記事の中から、MONOist編集部が厳選した今週の注目ニュースをお届けします。今週のキーワードは「半導体投資、続々」です。
半導体物流需要の増大に対応、熊本で全館空調完備の1社専有物流施設開発へ
日本GLPは、熊本県菊池市において、先進的物流施設「GLP熊本菊池」を開発する。九州経済の成長をけん引する半導体工業団地の近隣に位置し、庫内全館空調完備で温度管理が必要な精密機器などにも対応する。
半導体需要拡大を見込み、東京応化が熊本と福島に関連材料の新工場建設
東京応化工業は、熊本県菊池市と福島県郡山市に新工場を建設することを決めたと発表した。中長期的な半導体需要の拡大に対応することを目指す。
三菱電機がSiCパワー半導体の前工程新工場を熊本県に建設、1000億円を投資
三菱電機は、SiCパワー半導体の生産体制強化に向け、熊本県泗水地区の拠点に新工場を建設することを発表した。合わせて、パワーデバイス事業における2021〜2025年度までの累計設備投資額を、従来計画の2倍となる約2600億円に引き上げる。
富士フイルムがCMPスラリーの国内生産を熊本拠点でスタート
富士フイルムは、熊本拠点(熊本県菊陽町)で半導体製造プロセスの基幹材料であるCMPスラリーの生産設備を本格稼働させたと発表した。



