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三菱電機がSiCパワー半導体の前工程新工場を熊本県に建設、1000億円を投資:工場ニュース
三菱電機は、SiCパワー半導体の生産体制強化に向け、熊本県泗水地区の拠点に新工場を建設することを発表した。合わせて、パワーデバイス事業における2021〜2025年度までの累計設備投資額を、従来計画の2倍となる約2600億円に引き上げる。
三菱電機は2023年3月14日、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体の生産体制強化に向け、熊本県菊池市泗水町の拠点に新工場を建設することを発表した。合わせて、パワーデバイス事業における2021〜2025年度までの累計設備投資額を、従来計画の2倍となる約2600億円に引き上げる。
脱炭素社会実現に向け世界的な省エネ志向が高まる中、電気自動車(EV)をはじめとするさまざまな用途でSiCパワー半導体の需要が高まっている。三菱電機ではこの需要拡大に対応するため、約1000億円を投資してSiCウエハーの新工場棟の建設と設備増強を行う。
この新工場棟は、熊本県菊池市泗水町の液晶事業統括部の拠点を活用して建設する。大口径化(8インチ)に対応し、最先端の省エネ性能を有するクリーンルームを導入し、徹底した自動化によって高い生産効率を実現する計画としている。市場の旺盛な需要に対応するため6インチウエハー製品の生産設備も増強する。
パワーデバイス事業の追加投資としては、この新工場建設に関わる1000億円の他、約100億円を投資してパワー半導体の後工程の新工場棟を福岡地区に建設する。近隣地区内に点在する組み立ておよび検査工程を集約する計画で、設計/開発から生産技術検証までを一貫して行う体制を構築する。その他、200億円をかけて設備増強や環境整備などを行うとしている。
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