三菱電機がシャープ福山事業所の一部を取得、パワー半導体の前工程拠点に:工場ニュース
三菱電機は、パワーデバイス製作所のウエハープロセス工程の新たな製造拠点を広島県福山市に開設すると発表した。シャープから、同社の福山事業所(広島県福山市)の一部の土地と建屋などを取得して製造ラインを構築する。
三菱電機は2020年6月11日、パワー半導体製品の製造を担当するパワーデバイス製作所のウエハープロセス工程の新たな製造拠点を広島県福山市に開設すると発表した。シャープから、同社の福山事業所(広島県福山市)の一部の土地と建屋などを取得して製造ラインを構築する。投資金額は、土地、建屋、既存設備の取得の他、今後の設備投資を含めて約200億円。
新拠点の建屋は3階建てを予定しており、延べ床面積は約4万6500m2。稼働開始は2021年11月を計画している。拠点を開設するシャープの福山事業所は、イメージセンサーや液晶ドライバ、オプトデバイス、アナログIC、半導体レーザーなどを生産しており、延べ床面積は15万3000m2、敷地面積は21万m2。2018年12月に分社化された電子デバイス事業とレーザー事業の本社も置かれている。
三菱電機のパワーデバイス製作所は、前工程に当たるウエハープロセス工程を熊本事業所(熊本県合志市)や福岡事業所(福岡市西区)などで、後工程に当たる組立・検査工程を福岡事業所や子会社のメルコパワーデバイスの本社工場(兵庫県丹波市)、豊岡工場(兵庫県豊岡市)などで行ってきた。
低炭素社会に向けた世界的な省エネや環境保護志向の高まりや、各国における自動車の電動化政策により、電力を効率よく制御するパワー半導体製品の需要が増加している。三菱電機は、この需要増に対応するため新たな拠点設置を検討していたという。
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