大腸がんを低侵襲に治療できるESD、オリンパスが内視鏡ロボット技術で容易に:医療機器ニュース
オリンパスが消化器内視鏡ソリューション(GIS)事業について説明。次世代のインテリジェントな内視鏡医療に向けて、データやAI、クラウドを融合したプラットフォーム「OLYSENSE」や、ロボット技術の活用でより多くの医師に先進的な内視鏡治療を可能にする「エンドルミナルロボティクス」などに注力する方針である。
オリンパスは2026年7月14日、東京都内で会見を開き、消化器内視鏡ソリューション(GIS)事業について説明した。次世代のインテリジェントな内視鏡医療に向けて、データやAI(人工知能)、クラウドを融合したプラットフォーム「OLYSENSE」や、ロボット技術の活用でより多くの医師に先進的な内視鏡治療を可能にする「エンドルミナルロボティクス」などに注力する方針である。
会見には2026年4月1日付で同社 執行役 最高消化器内視鏡ソリューション事業責任者に就任したキース・べティガー氏が登壇した。べティガー氏の医療業界におけるキャリアは看護師から始まっており、その後総合ヘルスケア企業であるSt. Jude Medical(現Abbott Laboratories)でセールスマネジャーや事業責任者を務めるなど医療機器業界で25年以上の経験を有している。オリンパスには2025年4月に入社し、消化器内視鏡ソリューション事業担当役員(共同責任者)を務めていた。
べティガー氏は「2025年の米国、EU、日本、中国における内視鏡手技数は1億5500万件、世界全体では2億件行われた。今後は、高齢化の進展や消化器系/泌尿器系がん、肺がんの羅患率増加、医療アクセスの拡大により年率5%で成長する。将来的には世界全体の内視鏡手技数は6億件に達するとみられる」と語る。特に、ERCP(内視鏡的逆行性胆膵管造影法)やESD(内視鏡的粘膜下層はく離術)など、内視鏡を使用することで低侵襲な治療が可能になる手技の需要が高まると見込んでいる。
オリンパスの2025年度の売上高は9973億円。このうち80%を占めるのが、べティガー氏が事業責任者を務めるGIS事業だ。消化器内視鏡市場でトップシェアである同社が、特に早期発見と治療が必要と考えているのは大腸がんである。「大腸がんは、発見が遅れることで悪性腫瘍になることが多く、がん関連死因でも上位にある。年間5300万件の大腸内視鏡検査を手掛けてきた当社としても、早期発見と治療でより多くの貢献ができると考えている」(ベディガー氏)。
GIS事業における次世代のインテリジェントな内視鏡医療に向けた取り組みとして注力しているのが、OLYSENSEとエンドルミナルロボティクス、リユース内視鏡やシングルユース内視鏡などである。
このうちエンドルミナルロボティクスでは、2025年7月に米国のリバイバル(Revival Healthcare Capital)と合弁でスワン・エンドサージカルを設立した後、2026年5月には韓国のエンドロボティクス(EndoRobotics)と戦略的パートナーシップを締結している。スワン・エンドサージカルは将来の消化器医療における革新的なロボットシステムの開発を目標とした長期的な視点に立った投資であり、エンドロボティクスとは同社のロボット支援技術をオリンパスの内視鏡治療ポートフォリオの一環として独占的にグローバル販売することによる短期的な視点でのソリューション提供になる。
べティガー氏は「どちらの技術も、悪性腫瘍の摘出のために行われる高度な手技として知られているESDが主な対象となっている。現在、ESDの年間実施数はアジア太平洋で2万件、米国で1万5000件にとどまっているが、これは医師のスキルに依存しているためだ。より多くの医師にESDを実施してもらえるように貢献することがエンドルミナルロボティクスを開発する目標の一つになっている」と強調する。ただし、エンドルミナルロボティクスの実用化時期については明らかにしなかった。
GIS事業と計画としては、新製品の「EVIS X1」やOLYSENSE、シングルユース内視鏡などをによって成長を確保し、2026年度は前年度比4%増、2027年度は同5%増の売上高の達成を目指すとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
オリンパス新CTOが技術戦略を説明、重点3領域の新製品を3〜5年で市場投入へ
オリンパスの新CTOであるサヤード・ナヴィード氏が「OLYSENSE」「エンドルミナルロボティクス」「シングルユース内視鏡(SUE)」の3領域を重点プロジェクトとする中長期の技術戦略について説明。今後3〜5年で、これら3領域の新製品を市場投入していく方針である。
器具交換不要で幅広い手技に対応、オリンパスが外科手術向けデバイスを開発
オリンパスは、血管封止や組織の切開、剥離を実施する外科手術向けエネルギーデバイス「THUNDERBEAT II」を発売する。進化した超音波および高周波ハイブリッド出力と新搭載の超音波単独出力が特徴だ。
中国現地生産の上部消化管スコープ、MPA登録証を初取得
オリンパスの上部消化管ビデオスコープ「GIF-EZ1500-C」が、江蘇省薬品監督管理局の医療機器登録証を取得した。同社の中国現地生産製品がMPAの認可を取得するのは初となる。
オリンパスが内視鏡手術ロボット開発へ、米国で投資会社と新会社を設立
オリンパスは、エンドルミナルロボティクスの開発を加速するため、米国の医療業界特化の投資会社であるリバイバルと契約を締結したと発表した。両社は同契約に基づき、米国に新会社「スワン・エンドサージカル(Swan EndoSurgical)」を共同で設立する。
“真のメドテック”に向け、オリンパスが選んだサプライチェーン組織改革
アイティメディアは「ITmedia Virtual EXPO 2025 冬」を開催した。本稿では、その中から「『真のメドテック』へ――オリンパスが挑むサプライチェーン組織変革」をテーマとした、オリンパス 執行役 CMSOの小林哲男氏による講演内容を紹介する。
医療AIはクラウドベースへ、オリンパスが消化器系内視鏡でプラットフォームを構築
消化器系内視鏡で世界トップシェアのオリンパスがAI技術の導入を積極的に進めている。2023年6月にオリンパス傘下に加わったOdin Vision CEO兼ディレクターのピーター・マウントニー氏に、同社の技術やオリンパスグループが目指す消化器系内視鏡向けAI技術の開発の方向性などについて聞いた。





