検索
特集

黄金期到来となるか―国家戦略のフードテック、日本の食産業の歴史的分岐点FOOMA JAPAN 2026(1/3 ページ)

「FOOMA JAPAN 2026」で行われたフードテックセッション「国家戦略としてのフードテックの可能性〜食産業のグローバル化」から、UnlocXの田中宏隆氏の講演やパネルディスカッションの模様を紹介する。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2026」(2026年6月2〜5日、東京ビッグサイト)において、フードテックセッション「国家戦略としてのフードテックの可能性〜食産業のグローバル化」が行われ、日本の食産業が抱える課題と可能性、そして新たな産業創造に向けた方向性が議論された。その模様をダイジェストで紹介する。

日本の食産業が迎えた分岐点

 2025年11月、首相の高市早苗氏が本部長を務める日本成長戦略本部は、17の成長投資分野の1つとして「フードテック」を選定した。さらに「合成生物学・バイオ」も重点分野に位置付けられ、日本の食産業は国家戦略の一角を担う存在として注目を集めている。

 セッションの冒頭、UnlocX 代表取締役 CEOでSKS JAPAN Founderの田中宏隆氏は「歴史的な分岐点に立つ日本の食産業〜黄金期か静かなる衰退か?〜」と題して講演し、日本の食産業が迎えている転換点について語った。

UnlocXの田中宏隆氏
UnlocXの田中宏隆氏

 まず田中氏は「今の食産業は可能性にあふれている一方で、そのまま放置していくと、その可能性が消えてしまう分岐点にある」と切り出した。

 日本には発酵技術や食品加工技術、大豆や海藻といった独自の食文化、さらには地域ごとの多様な食資源が存在する。加えて、企業や研究機関、自治体、スタートアップなどが連携するコミュニティーも育ち始めている。

 田中氏は「日本の“食”産業に内在する可能性はとてつもなく大きい」と強調し、その一例として挙げたのが高齢化社会への対応だ。

 米国のテクノロジー見本市「CES」では近年、「Longevity(健康長寿)」が主要テーマとして取り上げられている。しかし、日本にはすでに高齢者向け食品や嚥下食などの知見が蓄積されている。欧州でも同様に高齢化対応への関心は高まっており、日本が培ってきた技術やノウハウへの期待は大きいという。

 その一方で、田中氏は「世界では高齢化が大きなテーマになっているのに、日本の存在感は十分に発揮できていない」とも指摘した。

世界が求め始めた日本の食文化と技術

 海外市場では、日本食に対する評価がかつてないほど高まっている。田中氏は米国で実施されているスタートアップ支援プログラムを紹介しながら、「アメリカでは日本食への関心がここ数年で爆発的に高まっている」と明かした。

 背景にあるのは健康志向の高まりだ。糖尿病や生活習慣病の増加が社会課題となる中、「日本食=健康」というイメージが定着しつつある。

 さらに欧州でも、日本への期待は大きい。田中氏はスペインで開催されたフードテックカンファレンス「Food 4 Future」でのエピソードを紹介。現地関係者からは「日本と一緒にプレミアムな食産業をつくりたい」という声が寄せられたという。

 田中氏は「適正な価値を生産者や産業に返していくためにも、日本との連携を期待しているという話をたくさん聞いた。日本が持つ品質や技術、食文化は、海外から見ると大きな魅力として映っている」と大きな可能性に言及した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る