「人を育てる自動化」が食品工場を変える、省力化投資の先にある人材育成:FOOMA JAPAN 2026(1/3 ページ)
世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2026」において、農林水産省セミナー「『人を育てる自動化』−人材育成×自動化×工程設計×∞」が行われた。セミナーの模様をダイジェストで紹介する。
世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2026」(2026年6月2〜5日、東京ビッグサイト)において、農林水産省セミナー「『人を育てる自動化』−人材育成×自動化×工程設計×∞」が行われた。
食品業界では深刻な人手不足が続いており、AI(人工知能)/ロボット技術の導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの重要性が高まっている。しかし、現場からは「どんな機械を導入すればいいのか分からない」「投資効果をどう判断すればいいのか分からない」といった声も多い。
今回のセミナーでは、農林水産省による省力化投資への支援施策の紹介に加え、実際に省力化に取り組んだ東洋ナッツ食品、マツモト、日興食品が登壇。「人を減らすための自動化」ではなく、「人を育てるための自動化」という視点から、それぞれの取り組みを紹介した。
農水省が食品企業の省力化投資を後押し
基調講演「農林水産省が展開する食品産業の省力化促進策」には、農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 食品製造課 原材料調達・品質管理改善室長の大塚裕一氏が登壇した。
食品製造業は中小企業/小規模事業者が全体の9割以上を占める一方、出荷額の約7割を担う裾野の広い産業だ。大塚氏は「省力化投資は一部の企業だけの課題ではない。食品産業全体の持続可能性に直結する課題だ」と強調した。
一方で、食品製造業界は現在、「人手不足」「低生産性」「設備不足」という三重苦に直面している。労働生産性や労働装備率は製造業平均を下回っており、依然として人手への依存度が高い産業構造でもある。
近年は慢性的な人手不足に加え、設備の老朽化や原材料価格高騰なども重なり、多くの企業が経営上の課題を抱えている。現場からは、「人がいない」「どんな機械を導入すればよいか分からない」「投資するお金がない」「情報がなく、相談できる相手がいない」といった声が数多く寄せられているという。
大塚氏は「人がいない、ものがない、お金がない、情報がない。この“4つのない”が非常に苦しいという声がよく聞かれる。省力化の必要性は理解されていても、何から始めればいいか分からず、実際に導入へ踏み出せない企業は少なくない。こうした状況が廃業率の高さにもつながっているのを危惧している」と危機感を語った。
こうした状況から、政府は2025年に策定した「省力化投資促進プラン」に基づき、2029年度までの5年間で省力化投資やデジタル投資を通じた生産性向上を集中的に後押しする方針を示している。食品製造業も重点対象業種の1つに位置付けられている。
これを受け、農林水産省も2025年度から「食品企業生産性向上フォーラム」を開始した。目的は、生産性向上に取り組む食品企業をトータルで支援することだ。
大塚氏は「われわれは『生産技術人材』という言葉を使っているが、食品企業の中で生産技術を理解し、自ら改善を進められる人材を育てることが重要だと考えている」と現場のリーダーとなる生産技術人材の育成に重点を置いていることを強調する。
フォーラムでは、「人材育成講習会」「交流会/セミナー」「情報発信」の3本柱で活動を展開。人材育成講習会では、専門家の監修のもと、工程の無駄を可視化する手法や、自社の自動化検討書を作成する実践的なプログラムを実施している。また、食品メーカーだけでなく、機械メーカー、研究機関、金融機関なども参加する交流の場を設けている。2025年度の受講者アンケートでは、約9割が「活用できる」「非常に活用できる」と回答したという。
大塚氏は「中小企業/小規模事業者が自社だけで改善プランを作るのは非常に難しい。外部の知見を取り入れながら進めることが重要だ」と意義を訴えていた。
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