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黄金期到来となるか―国家戦略のフードテック、日本の食産業の歴史的分岐点FOOMA JAPAN 2026(2/3 ページ)

「FOOMA JAPAN 2026」で行われたフードテックセッション「国家戦略としてのフードテックの可能性〜食産業のグローバル化」から、UnlocXの田中宏隆氏の講演やパネルディスカッションの模様を紹介する。

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「一石N鳥食」が示す新たなフードテック

 田中氏はフードテックが生み出し始めている新たな価値として、「一石N鳥食(Regenerative Food)」を紹介。これは単においしいだけではない。健康、環境保全、地域振興、文化継承など、複数の価値を同時に実現する食品を指す。「食べれば食べるほど健康になる、環境が回復する、文化が守られる。そんな食品が実現し始めている」(田中氏)。

 国内では、シーベジタブルは海藻養殖を通じて海洋環境の改善と食文化の継承に取り組んでいる。北三陸ファクトリーでは、痩せたウニを陸上で育成することで、磯焼け対策と高付加価値化を両立する循環型モデルを構築している。さらにAlgaleX(アルガレックス)は泡盛の蒸留残渣と微細藻類を活用し、新たな機能性素材を生み出そうとしている。

 こうした取り組みは、「食べること」が社会課題の解決につながる新たな産業モデルとして注目を集めている。

地方企業とスタートアップが変革をけん引

 田中氏がもう1つ注目するのが、「リ・スタートアップ」と呼ばれる存在だ。

 これはスタートアップではなく、代替わりや新たな経営人材の登場を機に変革へ挑戦する地方の老舗企業群を指す。代表例として挙げたのが、創業93年の発酵/醸造設備メーカーのフジワラテクノアートや、120年以上の歴史を持つ食品素材メーカーの池田糖化工業だ。「日本にはスタートアップと大企業だけではない、本気で業界を変えようとしている地域企業が出てきている」と新たな動きを語った。

 さらに不動産業界も食産業へ参入している。

 三井不動産は「&mog(アンド・モグ)」を立ち上げ、日本橋を拠点にスタートアップと企業をつなぐフードイノベーション拠点づくりを進めている。また、UR都市機構や日鉄興和不動産などが参画する「Foodα(フーダ)」では、東京駅を中心に街そのものを実証フィールドとして活用し、食の新技術やサービスの社会実装を支援している。

 田中氏は「海外スタートアップが日本に来たとき、街そのものがテストベッドになる。これは大きな強みだ」と強調し、「こうした動きからも、日本のフードイノベーションが、すでに“第2ステージ”に入り、“爆走”しているのが分かる」と語った。

「技術は生まれるが産業が生まれない」

 一方で、田中氏は日本が抱える課題についても警鐘を鳴らした。食料自給率の低下、生産者の高齢化、みそ蔵やしょうゆ蔵の減少、地域経済の衰退――。さらにフードロスや気候変動、プロテインクライシスといった世界共通の課題も押し寄せている。

 田中氏は「今は平時ではない。静かなる有事だ」と危機感を持っていることを語り、特に優れた技術やプレーヤーが存在するにもかかわらず、それらが分散したままになっていることを問題視。「日本には優れた技術もプレーヤーも存在する。しかし、それらがつながっていない。このままでは技術は生まれるが、産業は生まれない。必要なのは技術開発だけではなく、新たなバリューネットワークの構築だ」と訴えた。

食産業のグローバル化は「モノの輸出」ではない

 こうした課題を乗り越えるために、田中氏は優先課題として「食産業のグローバル化」「食料主権とレジリエンスの強化」「イノベーターの育成」「フードクラスターの構築」を提示した。

知、技術、エコシステムのOSを世界と共創して展開
知、技術、エコシステムのOSを世界と共創して展開

 中でも強調したのがグローバル化である。ただし、それは単なる食品輸出の拡大ではない。田中氏は「日本が目指すべきはモノの輸出ではなく、知のOS、技術のOS、エコシステムのOSを世界と共創しながら展開することだ」と主張し、発酵技術や食品加工技術、食品機械、さらには地域コミュニティーの仕組みまで含め、日本が培ってきた知見そのものを世界へ展開する構想を強く訴えた。

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