花王CLO「現場を知らずデータは生きない」 製配販の壁を壊し経営の武器へ:物流を変える「CLOの戦略眼」(3/3 ページ)
CLO(物流統括管理者)体制を構築し、物流改革から経営変革へ挑む先進企業を追う本連載。第1回は花王のCLOに就任した森信介氏に、「製配販」の分断を打破し、現場力を全社の経営戦略へと昇華させる、改革の最前線を聞く。
個社最適の枠を超える、業界横断コンソーシアム「CODE」
MONOist 社内外との連携についてはいかがでしょうか。
森氏 花王は個社最適の枠を超え、サプライチェーン全体の「社会最適」を主導する取り組みに乗り出しています。その核となるのが、2026年4月に発足した共同配送コンソーシアム「CODE(Cargo Owners’ Data-driven Ecosystem)」です。食品、日用品、医薬品、出版業界をまたぐ9社の荷主企業で構成されています。
幹事企業である当社と三菱食品をはじめ、旭食品、あらた、PALTACなどが参画しており、日用品・雑貨領域だけでも市場の9割以上をカバーする規模となります。具体的には、各社の配送データを共通化し、データ基盤上で「多対多」のマッチングを行います。まずは車両の融通から始め、将来的には混載による積載率向上とトラック台数の削減を目指します。
当社と三菱食品で行った先行実証では、年間約300台のトラック削減と約10トンのCO2削減効果を確認しました。今後は現在の9社で実績を積み上げつつ、順次参画企業を増やしてマッチングの輪を広げていく計画です。
現場の底力を経営戦略へ昇華させる、CLOの真の役割
MONOist 最後に、これからCLOを担う方々や、物流変革を目指す企業に向けてメッセージをお願いします。
森氏 物流変革を推進する上で、全ての基盤となるのは結局のところ「現場力」です。日々のオペレーションにおいて何が真のボトルネックなのかを一番深く理解しているのは現場のメンバーであり、コーポレートにいるだけでは、その真の課題を見抜くことはできません。
しかし、CLOは単に「現場の作業が大変だからお金をかけて助けてほしい」と要求するだけのポジションでもありません。今実行しようとしている現場への投資が、5年後、10年後という長いスパンで見たときに、経営の数字や企業価値をどう変えるのか。確かな見通しと投資対効果のストーリーを経営層へ提示し、自社のサプライチェーンをより強固なものにしていく必要があります。
現場に赴いた際には現場の目線で語り合い、経営会議の場では財務と経営の言語で語る。この2つの視座を自在に行き来し、現場の底力を全社の経営戦略へと昇華させることこそが、CLOの真の役割だと考えています。ぜひ、部門を超え、そして業界の枠組みをも超えて、物流という社会課題の解決に向けてともに切磋琢磨し、日本のサプライチェーンの未来を創り上げていきましょう。
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