DMG森精機の欧州市場「深耕」青写真、フロンテン工場のモノづくり深化:スマート工場最前線(2/2 ページ)
DMG森精機が欧州市場の深耕を図っている。同社の欧州最大の開発/生産拠点であるフロンテン工場を着々と増強しており、2027年には欧州統括会社の新たな本社がドイツのミュンヘンで稼働する。本稿では、前編としてフロンテン工場におけるモノづくりを中心に言及する。
工作機械業界の常識を破るAGVライン、設備増強着々
フロンテン工場では約15万m2の敷地に約1600人の従業員が働き、機種にして50種以上、年間約1000台の工作機械を生産する。研究開発に従事する技術者も多く、生産される工作機械は同地で開発された機械だ。
Mahoは1920年に5人の技術者によって設立された。当初は製図機器を製造していたが、第2次大戦後に自社設備として当時高価だった工作機械を内製。やがて外部企業からも注文を得るようになり、工作機械専業メーカーへと舵を切った。
DMG森精機としての経営統合を経て、フロンテン工場では施設の拡張や効率化に向けた大規模な投資を行ってきた。
2018年に駐車場を集約する形で立体駐車場を整備し、拡張スペースを確保すると、2019年にケーブルや軸受など小さな部材を収める物流倉庫を建設。2021年には、リニアガイドやクーラントタンクなどの中/大物用の物流倉庫が完成した。
中/大物用の物流倉庫の高さは16mあり、棚の総延長は1万4000mに及ぶという。それまでは、外部倉庫を活用し、必要な時に都度トレーラーで運んでいた。物流倉庫の完成によって主要部材を工場内に収容できるようになり、組み立てラインまでの動線が大きく短縮された。
中でも2020年に稼働したのが、5軸制御マシニングセンタの「monoBLOCKシリーズ(DMU65/85)」を組み立てるエクセレンスファクトリーだ。
通常、工作機械を製造する際は、機械の土台となるベッドを据え置き、その場所から動かさずに組み立てるセル生産が行われている。ただ、その方式は作業者の熟練度の違いによる作業スピードのばらつきや、各顧客の個別仕様などもあって、どこで進捗遅れなどの問題が起きているのか見えにくいというデメリットがあった。
そこで、エクセレンスファクトリーでは自動車のライン生産の手法を取り入れている。
34台の専用AGVが一列に並び、それぞれのAGVにはポーランド工場で基本組み立てが終わった工作機械が搭載される。AGVは毎分45mmで進んでおり、2.5時間かけて次の工程に進む。その間に、作業者が工具マガジンや工作機械のカバーを取り付けたり、工程間の各種検査を行ったりしながら完成に近づいていく。同機種なら主軸の性能やテーブル、工具マガジンなどの仕様が異なっても組み立て可能な混流生産となっている。ここでは約10日間で1台が完成する。
フローラインとも呼ばれるこの仕組みの利点は、進捗が見える化されることだ。
一定時間で必ず進むため、どこかで作業が滞っていれば、すぐに判明する。また、次の工程に必要な部材が機械の横に用意される仕組みになっており、部材は常に3〜5台分が準備されている。もし、部材が不足していれば、それだけで異常が発生していることになり、原因の究明や対処が行われることになる。
DMG森精機では、このフローラインの仕組みをフロンテン工場の他、ゼーバッハ工場(ドイツ)、トルトナ工場(イタリア)の生産台数の多い機種のラインで導入している。(後編へ続く)
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