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“見えない基盤”に宿る精度、牧野フライスのモノづくり哲学メイドインジャパンの現場力(1/2 ページ)

牧野フライス製作所は、新たに開設した富士吉田工場の工場見学会を開催した。本稿では、工場建設のコンセプトなどを中心に紹介する。

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 牧野フライス製作所は2026年5月18〜20日、新たに開設した富士吉田工場(山梨県富士吉田市)の工場見学会を開催した。本稿では、工場建設のコンセプトなどを中心に紹介する。

2300本の杭で地盤改良、精緻な温度管理も

 富士吉田工場は厚木工場(神奈川県愛川町)、富士勝山工場(山梨県富士河口湖町)に次ぐ牧野フライスの3番目の国内生産拠点として設立された。

 富士吉田の地が選ばれた理由は、その自然環境にある。富士箱根伊豆国立公園の中に位置しており、一帯は過去の富士山の火山活動によって噴出した溶岩が固まった層があり、強固な地盤に支えられている。

 富士吉田工場はこの強固な地盤に加え、工場の基礎を安定させるため、地中に直径1.6mの杭を2.5m間隔で計約2300本設置して地盤改良を行った。杭は、長いものでは10mになるという。そして、これらの上に1.2mの厚さのコンクリートを打設している。

 なぜここまで地盤にこだわるのか。大型の工作機械は数十t(トン)の重量があり、機械自身の重量や動きが加工精度に影響する。軸の移動や機械の動作に伴う力のやりとりを、機械の基礎がどのように受け止めるかで精度が変化するのだ。そこで、床のたわみなどがない頑強な地盤の上で組み立てを行うことで、高い機械品質を確保する。

富士山の麓にある富士吉田工場。新しい建物は景観に配慮した配色になっている
富士山の麓にある富士吉田工場。新しい建物は景観に配慮した配色になっている[クリックで拡大]出所:牧野フライス

 金属で構成される工作機械は、周囲の温度環境の変化が加工精度に大きな影響を及ぼす。そのため、工場内は徹底した空調管理を行っている。もともと富士吉田工場は標高900〜1000mに位置しており、1年を通して比較的温度変化が少ない。その上、工場内は恒温環境になっており、高さ10mまでの空間が設定温度に対して±1℃の範囲になるように管理している。

 また、工場内を34のゾーンに分けて温度管理ができるようになっている。。空調の風が直接機械に当たらないように、1072個の吹き出し口を設置。これにより大風量かつ低風速で空気を撹拌(かくはん)し、温度を均一に保っている。外気の温度変化や直射日光の影響を最小限に抑えるため、断熱性の高い壁や屋根材を採用している。

3つの原理原則活用、運搬効率と安全性を両立

 富士吉田工場の倉庫棟、ユニット工場、本体組み立て工場を合わせた面積は約2万7500m2となっている。そして倉庫棟、ユニット工場、組み立て工場は一直線に配置されており、工場におけるモノの流れが「逆行しない」「交差しない」「渦を巻かない」という3つの原理原則にこだわって設計されている。

 倉庫棟ではトラックで搬入された部材を集約、保管する。1100×1100mmのパレットが3000枚以上収納でき、30秒に1パレット出庫できるパレット用自動倉庫と、5秒に1バケット出庫でき、バケット数で8000個以上を収納できる小物品向けのバケット用自動倉庫を備えており、必要なタイミングで必要な部材を供給する。

 部材の供給は、敷地内の高低差を利用し、2つの垂直搬送機で行われる。動線を整流化することで運搬の効率と安全性を両立した工場設計となっている。

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