ガス吸収塔の設計計算の考え方:はじめての化学工学(19)(2/2 ページ)
前回はガス吸収の基礎について取り上げました。今回は、ガス吸収塔の寸法を決める設計計算の考え方について解説します。
塔高は「HTU×NTU」で決まる
最後に塔高を求めます。ガス中の吸収対象成分を目標濃度まで下げるために、どれだけの充填層高さが必要かを考えます。充填塔では棚段塔のように「1段、2段」と明確に区切られた段がないため、理論段数ではなくHTU(移動単位高さ)とNTU(移動単位数)という考え方が使われます。
基本式は、Z=HTU×NTU=HOG×NOGと表されます。Zは必要な充填層高さ、HOGはガス相基準の総括HTU、NOGはガス相基準の総括NTUです。HTUとNTUの計算方法は複数ありますが、ガス吸収では、除去したい成分の濃度変化をガス側で追うことが多いため、ここではガス相基準で説明します。
NTUは、分離の難しさを表す値です。ガス中の成分濃度をどれだけ下げたいか、また操作線と平衡線の間にどれだけの推進力があるかによって決まります。出口ガス濃度を非常に低くしたい場合には、必要なNTUは大きくなります。塔内の液濃度xとつり合うガス濃度(平衡濃度)y*がヘンリーの法則から導けます。実際のガス濃度yと平衡濃度y*の差であるy-y*が、吸収の推進力です。ただし推進力は塔内でも変化するため、塔頂から塔底までの濃度変化に対して積分します。
一方、HTUは装置としての吸収しやすさを表す値です。充填物の種類、ガスと液の流速、物性などに影響されます。HTUが小さいほど、短い高さで効率よく吸収できることを意味します。HTUは、物質移動係数を用いて表されます。G'は塔断面積あたりのガスモル流量、Kyは物質移動係数、aは単位体積当たりの有効気液接触面積を表します。
終わりに
今回はガス吸収塔の設計計算を解説しました。ガス吸収は、パラメータのはっきりした、簡単に計算できる式が存在しないのが難しい所で、設備や物資に固有の値を調査することが頻繁に発生します。今回紹介した考え方を参考に、必要な設計方法を調査し検討してみてください。
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