さまざまな反応器における設計方程式:はじめての化学工学(11)(1/2 ページ)
化学反応器の設計には設計方程式の理解が必要です。今回は、さまざまな反応器を例に、一次、不可逆、等温における設計方程式について解説します。
転化率(反応率)の考え方と基本式
原料Aが製品に変化した場合の例を考えます。この時、転化率(反応率)Xは回分式と連続式で図1のように表せます。回分反応器(BR)のような回分式は仕込量基準、連続槽型反応器(CSTR)や管型反応器(PFR)のような連続式は供給量基準となります。
転化率Xを用いることで、図2のような形で反応前後での濃度の式が求められます。なお、単純化のため、反応速度が濃度に比例し、逆反応が起こらない一次不可逆反応(A→B)が前提になっています。
反応速度は図3に示す一般式で表されます。右の式はアレニウスの式です。本記事では等温として反応速度定数kを一定と見なして計算します。非等温の時は後で温度依存を調整する必要があります。
BRの設計方程式
一次不可逆におけるBRの物質収支式を用いて、初期条件t=0、CA=CA0で積分します。すると目標転化率X’における反応時間tBRを図4のように求められます。
反応時間−転化率の関係から「何分で反応を停止すれば良いか」を決め、選択率や温度の上限を設計します。
CSTRの設計方程式
CSTRで設計方程式を考える場合、定常状態であると仮定します。定常状態は原料の消費速度と生成物の発生速度が同じ状態です。また、供給した原料は完全混合されて、濃度が均一であると仮定します。この条件の場合、槽内の濃度と出口の濃度は同じになります。
定常状態/完全混合の条件で定常物質収支式を求め、転化率を用いて表現します。さらに定常物質収支式と反応速度式を組み合わせることで、図5のように空間時間T=(体積)/(体積流量)=V/v0を用いた表現ができます。この空間時間は「その反応器に流体が平均して何秒滞留するか」という設計の基本指標です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.