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気液間の物質移動、ガス吸収の考え方はじめての化学工学(18)(1/2 ページ)

今回から「ガス吸収」を取り上げ、まずは化学工学における基本的な考え方を解説します。液体に固体を溶かす場合と考え方が異なります。

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ガス吸収とは何か?

 ガス吸収とは、目的のガス成分を液体(吸収液)に接触させ、溶解させる操作です。工場や発電所で発生する排ガスから、地球温暖化の原因となる二酸化炭素や大気汚染物質である硫黄酸化物(SOx)を取り除く処理が代表的です。

 私たちの身の回りには、水に二酸化炭素を溶かし込んだ「炭酸水」があります。炭酸水はガスを吸収した液体の1つで、身近なものです。

熱力学と移動現象

 ガス吸収には、大きく2つの考え方が必要です。それが、熱力学における「気液平衡」と移動現象論における「物質移動速度」です。

 熱力学の視点では、「どこまで溶けるか?」を考えます。気体が液体に無限に溶け続けることはありません。ある限界に達すると、気体から液体に溶け込む量と、液体から気体へと飛び出す量が等しくなります。見かけ上の変化が止まる状態を「気液平衡」と呼びます。

 移動現象論の視点では、「どれくらい速く溶けるか?」を考えます。平衡に達するまでに、気体分子が液体の中を移動する道のりや速度は一律ではありません。実際の装置を設計する上では、物質の移動の速さが装置サイズを決定する重要な要素になります。

吸収限界を決める「ヘンリーの法則」

 気体が液体にどれだけ溶けやすいかは、溶解度で表します。溶解度は気体と液体の相性によって決まりますが、温度と圧力にも大きく左右されます。

 希薄溶液の場合、気体の溶けやすさは「ヘンリーの法則」に従います。これは、液体に溶ける気体の量は、その気体の圧力(分圧)に比例するというものです。圧力をかければかけるほど、気体は液体に押し込まれ、よく溶けるようになります。

 また温度については、冷たいほどよく溶けるのが一般的です。固体の溶解とは逆になります。炭酸水を温めると気が抜けてしまうのと同じです。工業的なガス吸収プロセスでは、原則として「低温/高圧」で行うのが最も効率的になります。このため、反応容器で固体原料を溶かし、ガス原料を吹き込みながら反応させる場合、適切な温度管理をしないと反応が進まなくなります。

表1 物質の状態と環境に応じた液体への溶けやすさ
表1 物質の状態と環境に応じた液体への溶けやすさ[クリックで拡大]

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