自動車スポット溶接の課題を克服! JFEの新技術が国内車に採用:材料技術
JFEスチールは、独自開発した自動車用鋼板のスポット溶接技術が国内自動車メーカーの部品に採用されたと発表した。
JFEスチールは2026年5月26日、開発した自動車用鋼板のスポット溶接技術が、国内自動車メーカーの自動車部品に採用されたと発表した。
独自の利用技術「JESOLVA」として体系化
自動車のスポット溶接では、複雑化する鋼板の組み合わせにおいて、安定した溶接品質の確保が求められており、顧客からは難易度の高い溶接板組や部品に高強度鋼板を適用するためのブレークスルー技術への強いニーズがあった。今回、顧客との協業を通じ、国内車種向けに以下の2つの技術が採用され、対象部品の生産が開始された。
1つ目は「インテリジェントスポット溶接技術」だ。板厚比の大きな3枚以上の鋼板を重ねる板組では、安定した溶接部の形成が難しい。板厚比が大きい場合、厚い鋼板同士には発熱が集中し、薄い鋼板と厚い鋼板の間には溶接部が形成されにくいという課題があった。
そこでインテリジェントスポット溶接技術では、溶接時の通電パターンと電極の加圧力を2つのステップに分割し、薄い鋼板間に溶接部を形成する工程を設けることで、溶接の安定化を実現した。同技術は、新たに太平洋工業のドア補強部品(Reinforce、RF)の生産工程に採用され、生産が開始されている。
2つ目は「LME割れ抑止溶接技術」で、LMEとはLiquid Metal Embrittlement(液体金属脆化)の略称だ。高強度のめっき鋼板を含む板組では、生産工程にて溶接が不安定化した際に、溶けためっきによってLME割れが生じる場合がある。
これに対し、同社はめっきの冷却/凝固を促進することでLME割れを抑止する溶接プロセスとして、LME割れ抑止溶接技術を開発し、超ハイテン材の溶接部の品質安定性向上を実現した。同技術とともに、車体メーカーの国内生産車種に同社の超ハイテン材が採用され、生産が開始されている。
同社は素材の提供だけでなく、顧客の製品開発/商品性能向上を可能にするソリューションを提供するため、自動車の開発初期段階から顧客と協力し合うEVI(Early Vendor Involvement)活動を展開している。
また、インテリジェントスポット溶接技術やLME割れ抑止技術をはじめとしたさまざまな利用技術を開発し、自動車用鋼板における独自の利用技術「JESOLVA(JFE Excellent SOLution for Vehicle Application)」として体系化し総合的なソリューションを提案している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
JFEスチール、スクラップ溶解能力「最大6倍」の新型電気炉を千葉で稼働
JFEスチールは、東日本製鉄所(千葉地区)の第4製鋼工場電気炉が稼働を開始したと発表した。スクラップの溶解能力は約30万トン(t)/年で、GHG排出量削減効果は最大約45万t/年を見込む。
製鋼スラグが「CO2の吸収材」に、革新的CO2固定技術の実証実験を開始
JFEスチールと愛媛大学は、鉄鋼生産の副産物である「製鋼スラグ」を活用し、高速かつ多量にCO2を固定する技術の実証試験を千葉地区で開始した。
JFEスチールがインドで方向性電磁鋼板製造能力を年間35万tへ拡張
JFEスチールとJSW Steelは、持分比率50:50で設立した方向性電磁鋼板製造/販売会社のJSW JFE Electrical SteelとJSW JFE Electrical Steel Nashikの製造能力を大幅に拡張することを決定したと発表した。
JFEスチールが鉄鋼業以外に向けソリューションビジネスを立ち上げ
JFEスチールは、鉄づくりを通し長年にわたり培った製造/運営技術を、鉄鋼業に限らず幅広い顧客の課題解決ソリューションとして提供するソリューションビジネス「JFE Resolus(レゾラス)」を立ち上げたと発表した。
JFEスチールGが形鋼事業再編、国内生産体制を強靭化
JFEスチールは、西日本製鉄所 福山地区(広島県福山市)の形鋼事業についてJFEスチールグループのJFE条鋼に2027年4月をめどに事業運営を移管する方針を決定した。


